[オスロ 10日 ロイター] - 世界最大の政府系ファンド(SWF)であるノルウェー政府年金基金は、投資先企業が中国・新疆ウイグル自治区での少数民族・ウイグル族やイスラム教徒の強制労働に関与しているかどうかについて調査を始める。

同ファンドの運用資産は1兆3000億ドル。約9100社に投資しており、全世界の上場株式約1.5%を保有している。議会が設定した倫理指針に基づき運用を行っている。

倫理委員会のJohan H. Andresen会長は、委員会の年次報告書公表に先立ちロイターの取材に応じ、新疆ウイグル自治区の収容所に収容されていた労働者の雇用が疑われる企業の特定を始めていると説明した。

「投資先の一部企業が、こうした労働者を使っている可能性があることを懸念している。おそらく、これは広く行われている慣行だろう」と述べた。その上で「この問題に関する勧告を行うとしたら、今年上期になる」と説明した。

倫理委員会の勧告は中央銀行の理事会に送られ、そこで最終決定される。中銀は通常、委員会の勧告を受け入れる。ただ、投資をすぐに止めるのではなく、まず、保有対象から外す可能性のある「ウォッチリスト」に指定し、企業に改善を求めることもある。

一方、投資先から外すと決定した企業については、事前に株価が下落することを防ぐため、保有株を売却してから公表する。

ファンドは、核兵器や地雷、たばこを製造する企業や人権を侵害する企業などへの投資が禁止されている。