[台北 10日 ロイター] - 台湾の中央銀行は10日、2020年の為替介入額が急増したことを明らかにした。米政府が台湾を為替操作国・地域に認定する可能性が出てきた。

台湾中銀は、外国為替市場への介入で差し引き391億ドルを購入したと表明。11月から12月にかけて「深刻な無秩序状態を回避」するため、対応を強化した。

台湾ドルは年初から対ドルで0.6%上昇。台湾企業の輸出競争力に対する懸念が浮上している。

台湾ドルは2020年には対ドルで5.6%上昇しており、上昇率はアジア通貨で有数の高さだった。

米財務省は2020年12月に公表した為替報告書で、台湾を「監視リスト」に追加。台湾が同リストに掲載されたのは2017年以降で初めて。

米財務省は135億ドル前後の介入で台湾を為替操作国・地域に認定する可能性があり、中銀が今回発表した391億ドルはこの水準を大幅に上回っている。

中銀は、台湾は規模の小さい開かれた経済であり、台湾ドルを「相対的に安定した」水準に維持する「必要」があると主張している。

米財務省は(1)年間の対米貿易黒字が200億ドル以上、(2)年間の経常黒字が域内総生産(GDP)比2%以上──という条件も、為替操作国・地域を認定する際の判断基準としているが、台湾はこの基準にも抵触している。

公式統計によると、2020年の台湾の対米貿易黒字は299億ドル、経常黒字はGDP比で約11%。

台湾は米国との自由貿易協定の締結を目指しており、為替操作国・地域に認定されれば、交渉に悪影響が出る可能性もある。