[ワシントン 9日 ロイター] - 米下院は9日、労働組合の結成や団体交渉に対する保護を強化する「団結権保護法案」を僅差で可決した。

民主党が制定を目指しており、賛成225・反対206で可決された。

法案は上院に送付されるが、上院は民主・共和の議席がともに50で、下院よりも法案可決のハードルは高い。大半の法案は採決に入るために少なくとも60票の賛成票が必要になる。

アラバマ州ベッセマーにあるアマゾン・ドット・コムの物流施設では、従業員が同社初の労組設立のための投票を進めている。投票は3月29日まで続く予定。アマゾンは100万人以上を雇用しており、従業員は増加傾向にある。

同法案は昨年、民主党が多数派を占める下院で可決されたが、共和党が多数派を占めていた上院で否決された。

民主党は現在、上院で事実上、僅差で多数派を占めている。バイデン大統領も法案を支持する意向を示しており、審議の行方に注目が集まっている。

下院教育労働委員会のロバート・スコット委員長(民主党)は「企業や富裕層の資産は引き続き増加しているが、労働者世帯は取り残されている」と主張。労組加入率が近年、低下していると指摘した。

政府統計によると、米国で労組に加入する賃金・給与所得者は2020年時点で全体の約10.8%と、1980年代の半分程度になっている。

法案が成立すれば、労使問題を扱う政府機関である全米労働関係委員会(NLRB)の命令に従わない企業にはペナルティーが科される。

全米製造業協会(NAM)は、法案が成立すれば、労組加入を支持しない従業員も、組合費の支払いを余儀なくされると批判。労使関係の悪化につながるとも主張している。