[9日 ロイター] - 米最高裁判所は9日、政府の支援を必要とする可能性が高い移民の永住権取得を制限するトランプ前政権の政策を巡る訴訟を却下した。バイデン政権がこの日、却下を要請していた。

「生活保護受給者」ルールと呼ばれるこの政策を巡り、バイデン政権はシカゴの下級審にも別の訴訟を却下するよう求めており、この日の最高裁の措置も踏まえると、同政策は近く、執行不可能となる公算が大きい。

米移民法は生活保護受給者となる可能性が高い人を永住権の対象から除外すると規定。政府の過去20年間の指針では、直接的な現金補助に依存する可能性や、公費で高齢者施設などに長期入所する公算が大きい移民の永住権取得を制限してきた。

トランプ前政権は生活保護受給者の解釈を拡大し、36カ月間に合計12カ月以上、低所得者向け公的医療保険「メディケイド」や住宅・食料支援などこれまでより広い範囲の受給者も制限対象に加えた。

複数の下級審はこの政策について、生活保護受給者の定義を許容でいないほどに拡大し、永住権を取得できない人を大幅に増加させているとして、移民法違反の可能性が高いと判断した。

マンハッタンの連邦高裁が昨年8月、政策に反対するニューヨーク州など原告の訴えを支持する判断を示したことを受け、トランプ前政権は最高裁に上告。最高裁は今年2月、審理を行うことに同意していた。

しかし、バイデン政権が9日に却下を要請した数時間後、最高裁はこの裁判に加え、主に民主党が率いる22州などが関与する別の2件の訴訟も退けた。

バイデン政権はシカゴの連邦高裁に対しても、同政策を違法と判断した昨年11月の連邦裁判決に対するトランプ前政権の控訴を退けるよう要請した。

政策に反対していた人権団体などは、最高裁の措置を歓迎する声明を出した。