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パナソニック株が一時前日比6.8%安の1327円と大幅続落し、2020年7月31日(15%安)以来の日中下落率となった。サプライチェーン(供給網)の効率化を手掛ける米ソフトウエア大手、米ブルーヨンダーを買収する方針を固めたとの8日の一部報道を受け、株式の希薄化などを懸念する売りが優勢となっている。

日本経済新聞の報道によると、パナソニックは買収額7000億円を軸にブルーヨンダー株を保有する米ファンドのブラックストーン・グループとニュー・マウンテン・キャピタルと全株式の取得に向けて詰めの協議に入っている。自己資金を軸に買収を想定するが、市場からの調達も検討するという。

シティグループ証券の江沢厚太アナリストは8日付のリポートで、報道が事実であれば事業競争力や地域性の拡大、将来的な利益増加はプラス要因となる一方、株式価値の希薄化や将来の減損リスクはマイナス要因だと分析。総合的に見ると「ネガティブ」と評価した。

パナソニックは20年にブルーヨンダー株式の20%を約8億ドル(約868億円)で取得済み。ブルーヨンダーは米ベストバイ、ウォルマート、キャタピラー、コカ・コーラ、独メルセデス・ベンツ、英ユニリーバなど世界約3300社を顧客に持つ。

パナソニックは9日、報道について「当社が発表したものではない」とした上で、「企業価値向上に向けさまざまな検討をしているが、本件について現時点で決定した事実はない」とのコメントを発表した。

(パナソニックのコメントを追加して更新します)

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