【岡田兵吾】グローバル力を身に付ければ、将来の可能性は急激に高まる

2021/3/22
「NewsPicks NewSchool」では、2021年4月から「グローバルコミュニケーション」について徹底的に学び、ディスカッションするプロジェクト「最新・最強のグローバルコミュニケーション」を開講します。
プロジェクトリーダーを務めるのは、マイクロソフト シンガポール アジア太平洋地区本部長として活躍する、リーゼントマネージャー岡田兵吾氏です。
開講に先立ち、岡田氏にその概要とプロジェクトへの思いを語ってもらいました。

参加してほしい人材像

──今回のNewSchool(「最新・最強のグローバルコミュニケーション」)で、ぜひ参加してほしいという人材像はありますか。
英語を使って外国人と働いてみたものの、思っていたより上手くいかなかった方が最も適するはずです。英語での表現のほかにも、仕事の進め方や評価軸の違いに戸惑った方にも参加してもらえればと思います。
また、これまで外国人相手にガンガン仕事をしてきた方にも、さらに理解を深めていけますし、逆にグローバルビジネス未経験で英語が苦手な方にも、参加しやすく実りあるプロジェクトなので、グローバルビジネスに興味がある多様な方々に参加頂けると思います。
NewSchoolでは私との対話などを通じて、どこが問題だったのかを浮き彫りにできればと考えています。
例えば日本人と外国人のコミュニケーションの違いとして、日本人が名刺交換から徐々に関係を深めていくのに対し、外国人ははじめからオープンに「仲良くやろうぜ」と打ち解けようとします。
それならば、英語を話すときはグローバル人材用の別人格を作ってもいいはず。これまで外国人に聞けなかった宗教の話も、「Understand, that’s very interesting」と言えば盛り上がったりするものです。
そのときの英語表現も特別なことはなく、基本的にポジティブ姿勢であれば、問題ありません。もし意見が違ったら、「I have a different opinion from the perspective of a Japanese native.」という表現でも構いません。それらも私と話して体感しているうちに慣れていくことで、上手くコミュニケーションとしてこなせるようになってもらいたいですね。
私なんか、ミーティングでよく、「When can I expect to finish this meeting?」とわざと聞きます。敢えて質問するのは、英語を話す口慣らしもありますが、相手との関係を築く上でリズムをつくるという意味もあります。
外国人は自分が理解できないことがあれば、話し手のせいだと考える傾向があります。自分がわからないときは周りもわかっていないはずで、わからないことを聞くのは失礼ではない。聞かないほうが失礼という文化です。
反対に日本人は、1を聞いて10を知るような、阿吽の呼吸の考えがあったりします。
そもそも仕事は上手な英語を話すことではなく結果を出すことですから、そういった違いを知ることで、臆せずにどんどんコミュニケーションを取ることで結果を出し、自分を上手く成長させてもらえればと思います。
岡田 兵吾
リーゼントマネージャー
マイクロソフト シンガポールアジア太平洋地区ライセンスコンプライアンス本部長
アクセンチュア、デロイトコンサルティング、マイクロソフトにて、日本・アメリカ・シンガポールを拠点に24年間勤務。シンガポール移住17年目。NHK Eテレ、TOKYO MXテレビなどメディア出演多数。情報経営イノベーション専門職大学(iU)超客員教授。オンラインサロン「兵吾村塾」主宰。IEビジネススクール・エグゼクティブMBA取得。著書に『残念なビジネス英語』(アルク)、『武器になるグローバル力 外国人と働くときに知っておくべき51の指針』(KADOKAWA)、『ビジネス現場で即効で使える 非ネイティブエリート最強英語フレーズ550』(ダイヤモンド社)などがある。Twitter:@phoenix_hugo
──一歩踏み出してグローバルで仕事をすることで得られるものは、とてつもなく大きいと思います。一方、その一歩をなかなか踏み出せないことも少なくなさそうです。
踏み出せない要因として、今はコロナ禍の問題もあれば、不景気という不安もあるかもしれません。ただ、私が英語でグローバルビジネスをこなせるようになって良かったと感じることに、場所を意識せずに働ける点があります。
英語でグローバルビジネスをこなせれば、実のところ中国圏でも働けるチャンスが出てきます。もしも、今後日本への不安がますます高まったとしても、リスクヘッジになります。実際、日本の人口は減少しているので、内需だけではなく外需を取り込む必要があります。
コロナ禍の今でも、1つの拠点からリモートワークで世界に通じるビジネスができます。その上、各国から様々な情報も得られます。結果として、それぞれの国の変化がわかるからこそ視野が広がり、世の中がこれからどう変わっていくのか、という未来予想も可能になります。
──グローバルにおけるコミュニケーション術を手に入れると、得られる情報も各段に増加し、自分自身もアップデートできると。
そうですね。コロナ禍でリモートワークが主流になったことで、私のもとにも、海外から突然仕事の依頼が舞い込んだりもします。
逆に日本のビジネスモデルを、海外に輸出することもできます。日本に興味を持っている外国人は非常に多く、特に東南アジアでの人気は高いものがあります。おそらく、彼らにとってコロナ禍が落ち着いたら最も行ってみたい国は、日本ではないでしょうか。
美容グッズや食事、今であれば『鬼滅の刃』をはじめとするアニメなど人気がありますし、トヨタを知らない人はいないと言えるほどです。
日本流ビジネスを知りたいという需要も大きいですから、「最新・最強のグローバルコミュニケーション」ができることでコンサルティングなど仕事の幅も一気に広がります。
(写真:eungchopan/istock.com)

クラスの進め方

──今回のクラスは全6回ありますが、どのような進行を考えていますか。
グローバルビジネスに興味がある方なら英語ができようができなくても、意欲がある方なら誰でも参加頂きたいと考えています。
英語も学びますが、今回は英語だけではなく、「グローバル特有のビジネス思考」、「異文化間の相違」と「グローバルの常識」などもたくさん盛り込む予定です。
進行も日本語で進めるので、英語が得意な人も得意でない人も一緒に学べるプロジェクトを計画しています。
6回のクラスですから、まずはグループセッションする相手を知る必要があるので、初回はコミュニケーションを意識しようと思います。
その上で、グローバルコミュニケーションは、完璧な英語でなくても問題ないことを実感してもらいたいですね。私からすれば、三単現のs、theやaといった冠詞ができなかろうが、問題ないです。私自身、冠詞なんて完璧ではありません。
もし文学作家になりたいのであれば別ですが、ビジネスでは用語が少しくらいわからなくても滞りなく進められたりします。そもそも全世界で働いているビジネスマンは英語が上手いと思われがちですが、8割は非ネイティブですからね。
Day2は、グローバルでの周囲を巻き込む必要性の説明になります。それに付随して、生産性を高める仕事圧縮術のワークショップも考えています。
目の前に山積みされる仕事を消化するために、いかに効率的に素早く質を高くこなしていけるかという学びも意識して、講義を進めていきたいですね。
Day3とDay4では、「グローバル現場で求められるビジネス英語」と題して、ビジネスシーン別に効果的に仕事を進めるビジネス英語フレーズを学んでもらおうと思っています。
シチュエーション別の英語は様々ありますが、相手を気遣った丁寧な表現や“頑張ってる感”が伝わる表現を紹介したいですね。Eメールも含め、英語のフレームワークが理解でき、外国人と働く上でより効果的なコミュニケーション術を2回にわたって伝えていきます。
──最後のDay5とDay6はどのようなイメージですか。
プレゼンテーションにおける自己表現を、ともに学んでいければと考えています。
自己紹介でもプレゼンテーションでも、日本人でよくあるのが英語の言い訳からのスタートです。「I’m sorry, I cannot speak English very well」というフレーズで始まるプレゼンテーションは、本当に多くあります。
もちろん、日本ではいきなり立ち上がって話すことは少ないですが、外国人のプレゼンテーションは意識を合わせたり、提案、承諾を得る目的があります。そのため、自然と立ち上がったり、体全体を使って前向きな形で示そうとします。
かつて日本の有名企業が、アメリカ本社の幹部の前でプレゼンテーションを行ったとき、アメリカの幹部からこっそりチャットで「本当に彼らは優秀なのか」と、何度も尋ねられたことがありました。
幹部たちが、なぜ疑問を抱いたかと言えば、彼らは「Good morning, thank you very much for making time for us.」と感情もなく淡々と挨拶し、座りながらスライドをちょろっと出して読み上げるだけだったからです。
グローバルコミュニケーションでは、「相手の目を見ながら話す」「ポイントは最初に挙げる」と言った様々な型があるので、それらの自己表現などを確認していきたいですね。
あとは、全6回のプロジェクトとは別に、途中にZoom飲み会を開いてもいいかな、と考えています。
(写真:MarcosMartinezSanchez/istock.com)

今こそ、海外で戦える力を

──全6回で、グローバルコミュニケーションのベースをしっかり身につけられると。
そうですね。世界にはハイコンテクストとローコンテクストの国があり、日本は阿吽の呼吸に代表されるハイコンテクストの国。共通の意識を持っているとされます。
一方、ドイツをはじめとするヨーロッパの国々はローコンテクストと言われています。それぞれ違うことがベースにあるので、言葉でしっかり表現して説明していく文化になります。
ほかにも、ダイレクトな表現をしたり、間接的な表現をしたり、国によって違いがあります。それらの違いがあるなか、グローバルビジネスではどちらに合わせるかと言えば、ローコンテクストに合わせた方がいいでしょうね。
たとえば、「すぐやる」という表現でも、「as soon as possible」ではなく、「by the end of this morning」でもいいはず。
価値観は人によって違うという前提で、知っていて当たり前と思いがちなことでも、最初は丁寧に定義を明確にしながら説明する必要があります。そして、互いに「話してわかる人だ」と理解が深まったらやり方を変えていけばいいと。
そういった、一般的なコミュニケーションや違いといった概念も共有していきたいと思います。
──最後に、開講に向けて改めて意気込みをお願いします。
コロナ禍によって変革の時代が訪れました。しかし、現在も国と国の移動は制限されど、ビジネスはとどまることなく進んでいて、グローバル化も止まることはありません。
この変革によって日本でも進んだリモート化により、海外とつながる機会は以前より増えています。このため、外国人とでも臆せずに関係構築やマネタイズまでできるスキルを今構築できれば、これからの不安は少なくなり、激動の時代も前向きに捉えることができるはずです。
ビジネス市場は日本だけがすべてではありません。かつては「アジアと言えば日本」という時代がありました。日本とアメリカ、ヨーロッパという三極です。しかし、現代は多極化と言われる時代に突入しています。
多極化が進むことによって、ビジネス市場が世界各地で格段に広がり、活躍できるグローバルの場は益々増える一方です。そのため、「武器となるグローバル力」を高めることにより、国内外で活躍する場が一気に広がっていきます。
特に今、海外と戦える力を持つことが混沌としたコロナ禍である現状を打破する力、自身の未来を構築する力となり得るはずだと考えています。
グローバル化が止まらない現在においては、グローバル力を身に付けることで、将来の可能性が累乗的に急激に高まる時代です。今、この力を身に付けないともったいないとも言えます。
また、日本はアジアの大国ですから、コロナが落ち着いてくれば、今後伸びゆくアジア市場で日本人が活躍しやすいはず。
「最新・最強のグローバルコミュニケーション」を身に付けることで、活躍のフィールドが世界に広がります。
今こそ「Step up out of your comfort zone!」の気概を持ち、未来を乗り越える最新・最強の力を手に入れ、世界を舞台に羽ばたいていきましょう。
STAY GOLD!
(取材:上田裕、構成:小谷紘友、デザイン:九喜洋介)
「NewsPicks NewSchool」では、2021年4月から「最新・最強のグローバルコミュニケーション」を開講します。詳細はこちらをご確認ください。