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少し話題はずれますが、「共有地の悲劇」をもじった「時間軸の悲劇」(tragedy of the horizon)は、気候変動の影響がフルに顕在化するまでには時間ラグがあるため、フルに顕在化した時にはもう影響を食い止めるには遅すぎるという、私達が直面している状況をマーク・カーニーがBOE総裁時代に表した言葉です(因みに彼は今秋の注目イベントCOP26の中心人物です)。

現在の温室効果ガス排出による将来の負のコスト(social cost of carbon、SCC)は、現在の政策やカーボンプライシングに大きな影響を与えますし、その算定方法は否応にも政治的となります。

将来発生するコストなので割引率で現在価値に割り引かなければなりませんが、そこで使用する割引率が問題となります。

幅広い経済学者の間で合意されているラインは、①割引率は「2%以下であるべき」という点と、②遠い将来になればなるほど、最低水準の割引率に近づくべきという点で、その理由付けは多々あります。

1点目は2点目とも関わりますが、直感的に言うと、投資リターンなどと異なり将来の気候変動コストは発生することが確実と言って差し支えない確度のため(当然その規模は不確実性が大きいですが)、より確実なものには低い割引率が適用されるべきとなります。
※金融において、割引率は、実現確度がより低いもの(株式投資リターン)には高い割引率(平均6%)、実現確度がより高いもの(国債投資リターン)には低い割引率が適用されます。

2点目については、私が最も面白いなと感じるのは以下の論文です。ざっくり言うと、将来に対して持つ割引率は人によって異なることを踏まえて、社会全体で効用最大化すると、遠い未来になればなるほど一番低い割引率を持つ人の割引率に近づくようにすることが解となるというものです。
https://www.pnas.org/content/111/10/3695
「気候変動問題は対応するためのコストが現世代に短期的に重くのしかかる一方、恩恵は将来世代が長期的にゆっくりと享受する。コストと恩恵の時間軸のズレが投資家と企業に思い切った手立てをとるのをためらわせ、結果として地球環境は回復不能なほど傷ついてしまう。それが「時間軸の悲劇」
と記事にありますが、これを踏まえてもファイナンスの観点からは長期プレイヤーの多い欧州でESGの議論が先行している一因なのかもしれない。
一方で現世代に短期的に重くのしかかっているかどうかはまだわからないと思います。今後も継続的に環境対応コストは必要になるとも考えられます。
ESGと議決権や取締役会についての記事。下記のNP編集部のESG記事と併せて。
https://newspicks.com/news/5663296

記事を読んで2点、株主と一緒に決めていくというインベストメントチェーンの話と、そのコスト・時間軸について。
株主総会を毎年開催して取締役を決めたり、また四半期で決算を行うのは、会社の経営が株主から経営者に委託されるため、その状態を把握し誰が舵取りするかを決めるため。ただ記事にあるようにその時間軸とESGの時間軸は違う。
エネルギー系企業(石油だったりエネルギー大量利用する企業)にとってその流れは逆風だからこそ、議決の対象としたりして「ステークホルダー全員の決定」としている背景があるのではないかと思った(調べたわけではないので、根本間違えているかもしれないが…)。
一方で、上記記事でも評価基準が乱立する中でのコストなどの話もあった。そしてそれらに適合していないと投資をされないのであれば、株価は一定安くなる。ただ、安くなったり、基準適合のためのコストが高くなればMBOなどもしうるのではないかとも感じる。もちろん、MBOなどのための負債性資金にも一定評価基準が関わる部分もあるが、ただ過度に行き過ぎれば純粋な金融価値に注目した出し手も出てくるのが世の中だと思っている。
今の、グリーンウォッシュ含めたバリュエーションの二極化は、個人的にはこういった動きを後押しする可能性もあるのではないかと思って見ている。
下記の黒木氏の記事も見ていただきたいが、空売りだけでなく、様々な意見があっての市場だと自分は思う。ESGを軽視するわけではないが、かといって金融価値を無視しすぎたバリュエーションに注目する主体も出てきうる。
https://newspicks.com/news/5659357
SDGsもそうですが、未来の地球のために、今の経済の前提をどれだけくつがえせるのか、個人的にはまだ懐疑的です。

なぜなら、企業のなかで、短期的な利益と長期的な利益を天秤にかけた意思決定では、まだ短期的な利益を優先させる傾向があるように見える企業が多い、と感じているからです。

経営者がその在任期間のパフォーマンスをそのときの業績やそれに基づくバリュエーションで測られている、経営者の在任期間が短い、ままだと、この長短の意思決定バランスは変えにくいように想像します。

もちろん、その構造ごと変えようと投資家の方々はお考えなのだと認識していますが、3年5年10年のスパンをさらに伸ばして30年とか50年にピントをあわせた意思決定を腹を据えて行う…ホント経営者の覚悟が問われると感じます。

バッジを意気揚々とつけておられる方はそういったことを認識されていらっしゃるのか勝手ながらいつも不安に思います…