バンクシーが旧刑務所の外壁で新作を発表。そこに込められた意味を読み解く
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旧刑務所の壁画、バンクシー本人の作品なのか否か話題になっていましたが、本人が公式サイトにアップして公認したニュースを美術手帖に書きました。ロンドンは不動産価格が高騰して、もはや一般市民が住むことができない地域になっています。今回のように歴史的建築物も不動産市場で買い叩かれる現状への抗議と、オスカーワイルドゆかりの刑務所を保存する運動を支援する作品です。
今回初めて、バンクシーがステンシル画の制作過程を初公開した、レア映像を公式サイトにアップして、こちらも話題になってます。しかもTV番組『ボブの絵画教室』風の動画だったので、笑いながら記事を書きました。
なぜボブ・ロスとコラボ?と聞かれたのですが、彼とバンクシーは意外にも共通項が多いのです。TV番組で世界的に有名になりましたが、自分の作品を販売したり、美術館で展示したりせず、篤志家で寄付を惜しまず、インタビュー嫌いでプライベートを秘匿し、その死後も財団が彼の教材や番組の著作権とプライバシーをかたくなに守っている点など。
動画の中で「私にとって絵は自由を表現することです。自分が望む世界を創り出せる。絵の技術を教えることで、あなたをそうした世界に解き放ちたい」と言っていますが、これもボブ・ロスとバンクシーに共通した姿勢なのでしょう。そして、オスカー・ワイルドにとっては、それは執筆だったのでしょう。
注目のコメント
都市の富裕化(ジェントリフィケーション)によって歴史的建造物が再開発されてしまうことへの抗議とのことで、これまでの同氏による富裕層への批判、格差社会への問題意識と同様のコンセプトです。
近年、バンクシ―の壁画はオークションで高値で売られるので、この絵を売れば旧刑務所も存置できたりするかもしれないとバンクシーが考えた可能性もあったりするのでしょうか?
https://bijutsutecho.com/magazine/insight/20674彼の作品には毎度賛否両論ありますが、公開日・PR法・メッセージにこれだけ深読みできるコンテクストがあるところが面白い。「分かる人には分かる」的なツボをついたセンスに、動画に込めた遊び心など…憎いなあと思いながらいつも注目しています。
バンクシーの新作。
様々な問題意識から価値を作り上げてきたからこそ、作品が壁に描かれることで建物の保存の可能性などが生まれてきます。
しかし、見に行きたいけど現場に行かないと見られないのがたまに傷・・・。