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デジタル庁を垣間見て

3週間限定で虎ノ門のIT室に勤務しました。
たったの3週間しかいませんでしたが、システム(制度)を作る過程とはこういうものか、という貴重な経験ができました。関わったのはワクチン接種記録システムです。

運用とセットで考える

我々自治体職員がなにかしらシステムを構築しようとするとき、そこには必ず運用があって、常に運用を見据えた開発となります。
しかし国では違うのです。システムは解決すべき課題とのみ直結していて、そこに運用はありません。当たり前です。近くに現場がないんですから。
その代わり、ものすごいスピードで開発は進んでいきます。

そんな環境でも、常に運用を気にする癖のついた頭ですから、具体的なシーンを想像してはオペレーションを妄想します。
仕様を考えていても、業務フローを考えていても、接種券を預かって確認する、ここまで確認できたら次に引き継ぐ、そういった超具体的なオペレーションがどんどん頭に浮かんでくるのです。

特別定額給付金、HER-SYS、V-SYS

いろいろと話題になった(V-SYSはこれから話題になるはず)これらのシステムの開発において、「運用」はどこまで考慮されたのでしょうか。
開発を経験した人ならわかると思いますが、開発に手戻りは付き物です。ないに越したことはありませんが、どうにもならないシステムができてしまうよりは、多少の手戻りがあってもしっかりと運用できるシステムにするほうが、みんなが幸せになれます。
もちろん時間的制約のある中で開発しなければならないこともありますから、常に100%運用を考えろとは言いません。とはいえできてから「これどーすんの?」となるのは本当に勘弁してもらいたいもんです。

私たちには対話が必要だ

結局のところ、以前から感じている「対話不足」が原因なんだと思います。これはシステムだけの話ではありません。
国は突っ走って制度を作る、開発をする。自治体はある日突然それを渡される。ここの接点は交わっているのではなく明確に区切られている。だから国はきちんと設計したはずのものが機能しない理由がわからないし、自治体はどういう理由でその設計になったのかわからないのです。

ただし対話不足は国だけの責任ではありません。現行を是としがちな自治体はなにかとネガティブな反応をしてしまいます。それが対話の間口を狭くしているのではないでしょうか。苦言を呈するなとは言いませんが、苦言と合わせて建設的な提案もしたいですね。
実はそんな場が、すでに動き出していたりします。

自治体の意見を丁寧に聞く

最近よく聞く言葉です。ありがたいことです。
私が虎ノ門にいる間に自治体向けの説明会が行われました。普通こういう説明会はあらかじめ説明事項が決まっていて、担当の職員が淡々と説明する印象ですが、この説明会は違いました。

大臣補佐官である小林議員自らが説明し、チャットに集まる質問に対しても可能な限り答えるという斬新な説明会でした。
こういうところにも、自治体の意見を丁寧に聞くという姿勢が出ていると思います。我々も建設的な対話で応えて、いいものをともに作っていきたいですね。

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