[北京 5日 ロイター] - 中国政府が5日に開幕した中国全国人民代表大会(全人代)で公表した2021年予算案は、国防費が前年比6.8%増の1兆3500億元(2084億7000万ドル)となった。経済成長率目標(6%超)とほぼ一致した。

新型コロナウイルス流行で経済が打撃を受け、30年ぶりの低い伸びだった昨年の6.6%増から小幅な拡大にとどまった。一桁の伸びは6年連続。

李克強首相は政府活動報告で、今年は「改革・科学技術・有能な人材の訓練」を通じて軍隊を強化すると表明した。

「われわれは全面的に軍事訓練と即応体制を強める。全ての分野と状況で安全保障上のリスクに対応するための全体的な計画を立てる。わが国の主権・安全保障・利益を守るために軍の戦略的能力を高める」と説明した。

「防衛関連の科学技術と産業のあり方を改善し、国防動員制度を強化する」とも述べたが、詳細は明らかにしなかった。

21年の国防予算は米国の約4分の1の規模。

中国人民解放軍の元幹部で、現在は中国伝媒大学に所属する楊宇軍氏は国防費の伸びについて、新型コロナ禍後の経済が直面している多くの問題を踏まえれば、妥当な水準と指摘した。

「中国の安全保障は国際的にも地域的にも比較的複雑な状況にある。軍の近代化・改革・増強を推進するのは非常に困難な課題だ。十分な国防費を確保することが不可欠だ」と述べた。

共産党機関紙・人民日報系の環球時報の胡錫進編集長はSNS(交流サイト)に、中国の国防費は国内総生産(GDP)の約1.3%で米国と比べてはるかに低いと投稿した。

*内容を追加しました。