[ブリュッセル/ロンドン 3日 ロイター] - 欧州連合(EU)は3日、英国政府が英領北アイルランドへの食品輸入検査を巡る猶予期間を一方的に延長したことに対し、法的措置を取ると表明した。EUは英国による離脱合意違反だと反発している。

英政府は小売業者が輸入する北アイルランドへの農産物・食品にかかる一部検査について猶予期間を10月1日まで延長。英国へのモノの自由な流れを確保するのに必要だと説明している。

EUは声明文で、英国の行動は離脱合意で最も議論の激しかった北アイルランド議定書の項目に反するものだとして、「強い懸念」を表明した。

声明文は「英国政府が国際法を犯そうとするのはこれで2度目だ」と指摘。英国は昨年、国内法案に離脱協定に反する条項を盛り込もうとしたものの、取りやめた経緯がある。

欧州委員会のセフコビッチ副委員長は3日夜、EUとの関係を取り仕切る英閣僚デービッド・フロスト氏と電話協議し、懸念を伝えた。

英政府報道官によると、フロスト氏はセフコビッチ氏に対し、今回の延長はすでに実施している措置を継続する一時的な対応であり、スーパーマーケット事業者などの企業が順応できるようさらに時間を与えることが目的だと説明。フロスト氏は、英国は義務を果たすため誠意を持って行動しているとも語ったという。

欧州委員会は離脱協定と貿易協力協定で定められた法的手段にのっとって対応するとした。

ジョンソン英首相は3日、議会に対し、英国市場における北アイルランドの立場は「極めて堅固で保証されている」と指摘。「EUとのさらなる協議を待つ間、食品供給といった一部分野の市場を保護するため、一定の一時的な運用上の緩和」を行うことが必要との認識を示した。