[シドニー 3日 ロイター] - オーストラリア統計局が3日発表した2020年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)は前期比3.1%増と、市場予想の2.5%を大幅に上回った。大規模な金融緩和と財政出動に支えられ、2021年も堅調なスタートを切ったとみられている。

第3・四半期GDPは前期比3.4%増に上方改定された。

2四半期連続で前期比の伸びが好調となったものの、第4・四半期のGDPは前年比では1.1%減と、新型コロナウイルスによる打撃を反映し、政策面の支援がなお必要であることを示唆した。

第4・四半期はサービス支出が回復する中、家計消費がGDPの伸びを主導した。住宅・企業支出が増加し、民間投資も全体の成長率に0.7%ポイント寄与した。

統計局は、天候に恵まれたことで農業生産が堅調に増加したと指摘した。

大手銀行によるカード支出データや、小売、雇用、建設活動に関する各種公式統計はいずれも力強く推移しており、今年第1・四半期は消費者が成長を主導するとみられている。

コモンウェルス銀行の豪経済責任者ギャレス・エアード氏は「景気回復はV字型をたどっている。2021年もさらなる回復が見込まれる」と述べた。

また「豪経済の成功は主に、非常に低水準のコロナ市中感染や、連邦・州政府と豪準備銀行(中央銀行)および銀行部門による非常に大規模で迅速な対応によるものと言える」と分析した。

豪中銀は昨年、3回の利下げによって政策金利を過去最低の0.1%に引き下げるとともに、前例のない量的緩和プログラムを導入。政府は雇用維持のための賃金補助制度を打ち出した。銀行は住宅ローンの返済猶予や金利引き下げを行った。

<今後も景気下支えが必要に>

2020年の豪経済は2.5%縮小したが、マイナス幅は英国の10%やイタリアの9%、カナダの5%、米国の3%超を下回った。

フライデンバーグ財務相は会見で「景気回復に向けた計画は順調に進んでおり、この日の統計がそれを示している」と強調した。ただ、まだ課題があり、今後も対応が必要だと述べた。

豪中銀は2日、雇用とインフレ率が中銀の目標水準に達するまで、3年債利回りを0.1%の水準に維持することに引き続きコミットするとした。

この日の統計では、コモディティーの輸出価格は大幅に上昇したものの、国内全体の物価はほとんど伸びなかったことが示された。

コモンウェルス証券のチーフエコノミスト、クレイグ・ジェームス氏は「景気刺激策が今後も必要とされている」と述べ、「労働市場における余剰生産能力はあと数年解消されず、政策金利は引き続き0.1%で据え置かれる」との見方を示した。

*財務相コメントなどを追加しました。