[北京 2日 ロイター] - 中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の郭樹清主席は2日の会見で、海外市場のバブル崩壊リスクを警戒しているとし、国内市場の混乱を避けるため資本流入を効果的に管理する措置を検討していると述べた。

世界各国の市場で財政・金融政策の副作用が出始めていると述べ、「欧州や米国、他の先進国の金融市場では実態経済とかけ離れた取引が行われている」と指摘した。

経済のグローバル化が進む中、景気回復や魅力的な資産価格を背景に今後中国への資本流入増加が見込まれており、国内市場の混乱回避に向け効果的な策を検討していると説明した。

「金融市場は実体経済の状況を反映すべきだ。もし大きなずれがあれば問題が発生し、市場は調整を余儀なくされる」とし「従って金融市場、とりわけ海外の金融資産バブルがはじけるリスクを非常に懸念している」と述べた。

郭氏の発言を受けて中国株は値を消し、人民元は下落した。

郭氏はまた国内の住宅市場では比較的強いバブルの傾向がみられるとし、住宅や土地の価格、住宅市場の見通しを安定させる必要があると指摘。「多くの人が住むためでなく投資や投機のために家を買っているのは非常に危険だ」と警告した。

仮に住宅市場が下落すれば保有する不動産に大規模な損失が発生し、住宅ローンの返済が滞り、経済が混乱するという悪循環を招くと語った。

<貸出金利は上昇も>

郭氏は中国当局が実体経済を下支えするために、銀行に利益の一部を放棄させるなどの政策を継続するとの見通しを示した。その一方で「今年は市場金利が上昇しているため、貸出金利も上昇すると予想している」とも述べた。詳細な説明はしなかった。

また、国内の銀行は2021年に不良債権を一段と処理する必要があると述べた。

みずほ銀行(香港)の首席アジア為替ストラテジスト、ケン・チャン氏は「中国指導部は金融リスクを抑え込むためにマクロ全体の債務水準を安定させる政策を推し進めるだろう」と分析した。

「利上げ局面が始まれば海外からの資本流入が増加する可能性がある」と指摘。「中国人民銀行(中央銀行)は新型コロナウイルスのローン支援と規制強化を段階的に終了することにより債務を安定させようとする」との見方を示した。

*主席とエコノミストの発言を追加しました