＜あのころ＞人力飛行機フライトに成功 日大の「リネット号」

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• 土屋 武司

  東京大学 大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 教授

  ・2021年02月28日

  木村秀政先生はライト兄弟が初飛行をした年に生まれ，東京大学の航空工学科に入学．同期は堀越二郎．一貫してアカデミックの世界に身を置き，「航研機」と呼ばれる試験機で1938年に東京からニューヨークに相当する長距離飛行の世界記録を達成した．戦前の日本において世界最高水準の航空技術を支えた大先生です．
  戦後は東大の職を失ったが，「五人の侍」の一人としてYS-11の開発に参加し，航空エンジニアの育成と航空技術の伝承に尽力した．日本大学で教鞭をとり，日本初の人力飛行機を学生たちと製作しました．航空工学の教育にはうってつけの教材であったからです．全日本的な活動として「鳥人間コンテスト」の立ち上げと運営委員長も務めました．日大派生のチームが強い理由はここにあります．
  航空工学の教育のために
  「人力飛行機」→「ドローン（無人航空機）」
  「鳥人間コンテスト」→「飛行ロボットコンテスト」
  と類比している私．しかしながら，恐れ多く，私は木村先生の足元にも及ばない．