[26日 ロイター] -

<為替> 米国債利回りが約1年ぶり高水準近辺にとどまっていることでドルが上昇した。一方、豪ドルなどの高リスク通貨は下落した。

新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、経済成長が押し上げられ、インフレが高進するとの観測から、国債利回りが上昇。25日の取引で米10年債利回りは約1年ぶりに1.6%台に乗せた。この日の取引でも1.45%近辺にとどまっている。

CIBCワールド・マーケッツのG10外為戦略部門責任者、ジェレミー・ストレッチ氏は、ドルは利回りの動きに連動していると指摘。前日に米10年債利回りがS&P500種株価指数の平均配当利回りを上回ったことについては「不確実性が明確に示された」と述べた。

連邦準備理事会(FRB)当局者が懸念を示していないことから、国債利回りの上昇は今月に入り加速。OANDA(ニューヨーク)のシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏は、利回り上昇は続き「ドル相場を動かす要因となっている」としている。

主要6通貨に対するドル指数は0.59%上昇の90.847と、1週間ぶりの高水準を付けた。

ドルは対円で上昇し、昨年9月以来初めて106.69円を付けた。ユーロは対ドルで0.79%安の1.2078ドル。

高リスク通貨は軟調。豪ドルは対米ドルで1.99%下落した。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは0.32%安の4万6946ドル。イーサリアムは0.7%安の1468ドル。

この日発表の米経済指標では、1月の個人消費支出(季節調整済み)が前月比2.4%増と、2020年6月以来、7カ月ぶりの大幅な伸びとなった。来週は3月5日発表の2月の雇用統計が注目されている。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 慎重な取引が目立つ中、国債利回りが低下した。ただ、好調な経済指標を受け、成長への期待が根強かった。

10年債利回りは9.3ベーシスポイント(bp)低下し、1.4224%。前日には1.614%まで急伸していた。年初からの伸びは50bpを超える。

レイモンド・ジェイムズのエリス・ファイファー氏は、前日の利回り急伸を受け、慎重な取引やポジション調整の動きが見られたと指摘。「相場が行き過ぎとの見方が広がった」と述べ、前日の7年債入札が低調だったことで買いが入ったとも分析した。

シーポート・グローバル・ホールディングスのトム・ディガロマ氏は「景気回復やワクチンの普及に伴い、連邦準備理事会(FRB)が予想以上に早く利上げに踏み切る余地がある」と話した。

経済指標では、1月の個人消費支出が前月比2.4%増と、2020年6月以来、7カ月ぶりの大幅な伸びを記録した。

3か月物財務省短期証券(Tビル)利回りは0.0406%とほぼ変わらず。週初時点では0.03%だった。

2年債と10年債の利回り格差は約7bp縮小し128bp。

担保付き翌日物資金調達金利(SOFR)は0.03%。24日には0.01%と昨年5月以降で最低を記録した。

2年債利回りは3.1bp低下し0.1348%。30年物の物価連動国債利回りは0.171%。10年物の物価連動国債利回りはマイナス0.734%で、通常国債との利回り差であるブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は2.090%。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> まちまち。値の振れる展開となる中、ナスダック総合は小反発して取引を終えた。前日は米国債利回りの上昇を受け、過去4カ月で最大の下落率を記録していた。

S&P総合500種ははほぼ変わらず。

ダウ工業株30種は1.5%値下がり。一時3週間ぶり安値に沈む場面もあった。

ナスダックは週間で昨年10月以来の大幅安となったものの、月間では約1%値上がりした。S&Pも月間で約2.6%高、ダウも約4%高となった。

アップル、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベットは軒並み0.2─1.4上昇。しかし、米債利回り上昇に圧迫され、週間では数カ月ぶりの大幅な下げを記録した。

6メリディアンの最高投資責任者アンドリュー・ミエス氏は、「金利が上昇する道筋にあることは確かだ」とした上で、バイデン大統領が掲げる1兆9000億ドルの新型コロナウイルス追加経済対策案に言及し、「株への追い風が存在することを忘れてはいけない」と述べた。

2月堅調に推移した金融、エネルギーはこの日、そろって約2%下落。情報技術は0.6%高、フィラデルフィア半導体は2.3%高となった。

S&Pバリュー株指数は1.3%安、グロース株指数は0.3%高と、今月みられた流れが反転した。

ここ数日、再び急伸していたゲーム販売ゲームストップは一時の上昇から下げに転じ、6.4%安で終了。

顧客管理ソフト大手セールスフォース・ドットコムも6.3%安。通期利益見通しが予想を下回った。

朝方発表された1月の個人消費支出は前月比2.4%増と、2020年6月以来、7カ月ぶりの大幅な伸びとなった。物価上昇圧力が依然抑制されていることも示された。

米取引所の合算出来高は155億4000万株。直近20営業日の平均は154億株。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.56対1の比率で上回った。ナスダックでも1.73対1で値下がり銘柄数が多かった。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 対ユーロでのドル高などを背景に売られ、4日続落した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比46.60ドル(2.62%)安の1オンス=1728.80ドルと、中心限月ベースで昨年6月中旬以来約8カ月ぶりの安値水準となった。

この日の外国為替市場では対ユーロでドル高が進行。ドル建てで取引される金塊などの商品の割高感につながり、金が売り込まれた。米長期金利の指標となる10年物国債利回りはこの日、1.4%台と騰勢はひとまず落ち着いたものの、金利を生まない資産として金が引き続き売られた面もあった。市場関係者によると、下落局面でテクニカル要因の売りもかさんだという。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> ドル高に伴う割高感などを受けた売りに押され、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比2.03ドル(3.20%)安の1バレル=61.50ドル。5月物は1.99ドル安の61.23ドルだった。

外国為替市場では、米長期金利の高止まりを眺めてドル買い・ユーロ売りが継続。ドル建てで取引される商品に割高感が生じ、原油売りが台頭した。清算値が前日に中心限月ベースで約1年10カ月ぶりの高値となった後の利益確定の売りや週末要因の売りも出やすく、相場は清算値確定の直前に一時61.34ドルまで下げた。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 106.58/106.61

始値 106.32

高値 106.69

安値 106.22

ユーロ/ドル NY終値 1.2074/1.2078

始値 1.2105

高値 1.214

安値 1.2064

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 93*27.50 2.1542%

前営業日終値 90*21.00 2.3090%

10年債(指標銘柄) 17時05分 97*12.50 1.4066%

前営業日終値 96*13.00 1.5150%

5年債(指標銘柄) 17時04分 98*28.00 0.7297%

前営業日終値 98*17.00 0.8000%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*31.75 0.1289%

前営業日終値 99*29.38 0.1660%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 30932.37 -469.64 -1.50

前営業日終値 31402.01

ナスダック総合 13192.34 +72.91 +0.56

前営業日終値 13119.43

S&P総合500種 3811.15 -18.19 -0.48

前営業日終値 3829.34

COMEX金 4月限 1728.8 ‐46.6

前営業日終値 1775.4

COMEX銀 5月限 2644.0 ‐124.5

前営業日終値 2768.5

北海ブレント 4月限 66.13 ‐0.75

前営業日終値 66.88

米WTI先物 4月限 61.50 ‐2.03

前営業日終値 63.53

CRB商品指数 190.4336 ‐4.1542

前営業日終値 194.5878