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【新説・魚食レポvol.12】アルコール冷凍寿司

どうも、かにへーです!

今回はまず皆さんに以下の写真を見て頂きたいと思います。

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お~~、美味しそうな握り寿司と牡蠣!

実は、これ冷凍品なんです。

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先日2月5日。神奈川県横浜市「仲町台」に冷凍食品専門のお店がオープンしました。

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このお店はテクニカン社と伊藤忠食品と手を組んで作ったらしいのですが、その特徴は...

「凍眠」というテクニカン社のリキッドフリーザーで冷凍した商品のみを扱っているということ。

「リキッドフリーザー」とは?
液体で凍結する機械のこと。
冷凍食品は、基本的に最大氷結晶生成温度帯と呼ばれる0~-5℃の間を早く通過させて凍らせた方が細胞損傷が少なく、美味しいものとなります。
液体凍結は、液体の方が気体よりも熱伝導率が約20倍速いことを活かし、冷やした液体に食品を入れることで急速凍結する方法です。
古くは、冷やした飽和塩水による「塩水ブライン凍結」が、使う溶媒は「食塩」と食材に直接触れても問題無く、身近の素材でコストも安いため、水産品においては広く使われてきました。
しかし、その後より品質の高い冷凍品の製造方法を追求していった結果、近年は「アルコール凍結」に注目が集まっています。
塩水ブライン凍結の温度が-21℃に対し、アルコール凍結は-30℃とより低いため、より高品質な冷凍品の製造が可能です。
かにへーは、刺身用の魚のフィレーを作る技術としては間違いなし!と数年前からアルコール凍結のファンです。

【補足1:アルコール凍結のデメリット】
食材に直接アルコールを触れさせてはいけないため、真空してから冷凍する必要があり手間が発生する。アルコール内で真空漏れした食材が売り物に出来なくなる。投入から排出まで、コンベアなどをつなげた流れ作業のラインが組めないため大量生産には向かない。などのデメリットがあります。

【補足2:他の冷凍技術】
プロトン凍結:氷核を敢えて多数作ることで氷結晶を小さく抑える。
CAS凍結:パルス振動で細胞内の水分子を揃え損傷を抑える。トンネルフリーザーと呼ばれるコンベア式のラインを組むことが可能。
3D凍結:食材全体を冷気で包むことで急速凍結をさせる。

そう、このお店はアルコール凍結品だけが置いてあるのだ!
店内をぐるりと回ると、魚のフィレや干物などの加工品、肉、アイスの他に、最近テクニカン社が推している「コンパクトタイプ」の凍眠を導入した飲食店の調理品も置いてあり、冷凍食品の裾野が広がっていることを強く感じた。

そして、今なら1000円以上買うと牡蠣をサービスしてくれるというので、冷凍寿司を買ってみた。
税込み2160円なり!うーん、良いお値段。

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ただ、解凍して並べるだけで、この絵面!
これだけのお寿司を仕込む手間を考えたら大満足。
特にコハダやサーモンの色がぼやけてなく、鮮やかなことに驚いた。

ただ…

シャリが微妙。柔らかさとネタとの一体感は生のお寿司にはとても叶わないかなぁ。玉子も冷凍じゃない方が良いかな。
あ、オマケで頂いた牡蠣は想像以上に旨みが残っていて、美味しかったです!

この報告を別でしたところ、後から料理人の方からアドバイスを頂きました。
お寿司はシャリだけ温めたら、かなり美味しく食べれるそうです。
(スーパーのお寿司も、このやり方でめちゃんこ美味しくなるそうですよ!)

今度やってみよう!

余談

近年、日本では年々冷凍食品の消費量が増えています。
そもそも冒頭の写真を見て冷凍品と知っても驚かない人が多いかもしれません。
かっぱ寿司も、スシローも、銀の皿も、小僧寿司も、ネタは冷凍品がほとんどなんですから。
重さにして、25年前に比べ約1.5倍。
特には輸入品の増加が顕著で、その割合は2倍近くに増加しています。
輸入冷凍品の最大のメリットは「安い」ことです。(もちろん商材によっては日本で作られたものより美味しいものが沢山あります。)
そのため多くは、量販店や外食チェーンに流通されていました。
コロナ禍により、量販店は増加したものの、外食チェーンの消費量は大幅に落ち込んでいます。
これから、冷凍食品の消費量がどう変化していくのか気になるところです。

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