[東京 26日 ロイター] - 日産自動車は26日、発電専用ガソリンエンジンで最高熱効率50%を実現できる技術を発表した。自動車用ガソリンエンジンの平均的な最高熱効率は30%台で、40%台前半が限界とされる中、新技術による最高熱効率は世界最高水準で、ハイブリッド車(HV)の燃費性能が大幅に改善できる。

新技術は、エンジンで発電機を動かして発生させた電力でモーターを駆動する独自のHV技術「e-POWER(eパワー)」に生かす。熱効率50%のエンジンによるeパワーの燃費は、これから発売するeパワーに搭載する熱効率40%のエンジンに比べ、約25%改善ができるという。日産は2030年代早期に主要市場に投入する新型車すべてを電動化する方針を打ち出しており、電気自動車と両輪でeパワーを強化する考えだ。

新技術を利用したeパワーのモデル投入の時期は公表していない。日産は2023年度までに年間100万台以上の電動化技術搭載車の販売を目標に掲げているが、平井俊弘・専務執行役員はこの日の説明会で「23年までに(発売する新車に新技術の)考え方は入っている」と述べ、熱効率50%の技術による商品化は「それ以降に焦点を合わせている」と語った。

新技術では、エンジン筒内の混合気の流れや点火を強化し、より希釈された混合気を高圧縮比で確実に燃焼させることによって熱効率を高める。排熱回収技術と組み合わせ、エンジンを発電専用に特化させて一定状態で回す「完全定点運転」で使うというブレークスルーによって、熱効率50%が実現できることを確認した。

(白木真紀)