[香港 26日 ロイター] - 複数の関係筋によると、中国の金融会社アント・グループは、新設した消費者金融部門の増資について、株主と協議を進めている。

収益率の高いマイクロ融資事業の大半を同部門に移管する計画で、規制当局の規定を満たすには300億元(46億ドル)の増資が必要になる。

同部門に移管するマイクロ融資の残高は約1兆元(1550億ドル)。移管により、全国での営業を継続することが可能になり、事業拡大も容易になるという。

規制当局はアントに対する圧力を強めており、銀行と同じような自己資本規制の適用に動いている。

アントは重慶市を拠点に2つのマイクロ融資事業を展開。2020年上期のアントの収入の40%近くは与信事業の収入だったが、その大半を両事業が稼ぎ出した。

ただ、中国人民銀行(中央銀行)が昨年11月に発表した新ルールの草案では、両事業の営業地域は、新たに全国営業免許を取得しない限り、重慶市に限定される。全国営業免許の取得は、時間のかかる不透明なプロセスになるとみられている。

ただ、マイクロ融資事業を消費者金融部門に組み込めば、そうした問題を回避できるという。

また、消費者金融会社は登記資本の最大10倍まで融資が可能だが、オンラインのマイクロ融資会社は2ー3倍が融資上限となっており、これもマイクロ融資事業を消費者金融部門に移管するメリットになる。

アントは2020年8月に消費者金融部門を設立したが、営業免許はまだ取得していないという。

関係筋は「自己資本規制を完全に順守しない限り、事業開始の認可を得るのは難しいだろう」と述べた。

アントはコメントを控えている。中国銀行保険監督管理委員会のコメントは取れていない。

マイクロ融資は、スマートフォン、カメラ、白物家電の購入などに利用される少額の融資で、中国では非常に人気が高い。

アントは、消費者金融部門に50%出資。香港を拠点とする南洋商業銀行が15%、台湾の国泰世華銀行が10%を出資している。車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)、インテリジェント交通運営サービスの北京千方科技も出資している。

アントは、他の株主が追加出資に消極的な場合、新たな出資者を探す計画という。