〈独自〉全柔連でパワハラか 指摘受けた幹部退職に「隠蔽」批判も

山下泰裕・全柔連会長(古厩正樹撮影)
山下泰裕・全柔連会長(古厩正樹撮影)

 全日本柔道連盟(全柔連)事務局内で、幹部職員によるパワーハラスメントが疑われる言動を多くの職員が指摘していたことが25日、関係者への取材で分かった。全柔連のコンプライアンス委員会の調査後、聴取の対象となった幹部職員は今年1月、自己都合を理由に退職。全柔連は一連の経緯を公表しておらず、内部からも「隠蔽(いんぺい)ではないか」と批判の声が上がっている。

 指摘があったのは、昨春に全柔連事務局内で多数の新型コロナウイルス感染者が出たことを受け、経緯などを調べていた調査委員会が昨年9月24日付でまとめた報告書。調査委員会は石井淳子副会長や弁護士の寺脇一峰常務理事らで構成され、関係者によると、感染が拡大した原因を調査するための職員への聞き取りの中で、幹部職員によるパワハラが疑われる言動を証言する声を把握した。

 調査委は「多くの職員が職場において、さまざまなパワハラと思われる具体的な事象を指摘している」などと問題視。その上で「それ自体を独立で扱うべき重要な問題」としてコンプライアンス委員会に速やかな調査を求めた。

 関係者によると、コンプライアンス委員会の調査でも、幹部職員によるパワハラが疑われる事案が確認されたため、昨年11月に日本オリンピック委員会(JOC)会長でもある全柔連の山下泰裕会長に報告書を提出して対応を一任したという。関係者の一人は産経新聞の取材に「どういう経緯で幹部職員が退職したのか説明がなく、報告書の内容が事実であれば、組織によるパワハラの隠蔽だ」と話す。報告書ではこのほか、山下会長や執行部に対し、職員の賞与査定や人事異動の在り方など組織運営上の問題についても指摘している。

 産経新聞の取材に対し、全柔連は「隠蔽の意図や隠蔽の事実はない」と回答した。

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