英国、6月に経済全面再開目指す-ジョンソン首相が4段階の緩和計画
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ほんの2、3ヶ月前までイギリスはどうなってしまうのかと心配したが、ワクチン開発技術と数量の確保、ワクチン接種のスピード(薬剤師も注射できるように法改正したそうである)、地域医療の連携による感染者受け入れ体制、経済再開に向けた素早い財政政策を見ると、かつて世界を支配した大英帝国のしたたかさと合理的な考え方に唸らせられる。
今度はファイザーのワクチンなら一回の摂取で70%以上の予防効果があるようだから、まずは一気に一回づつ全国民に摂取しようという動きを見せている。同じ島国で、技術立国だったはずの日本は政治・経済が保守的すぎてなかなか先に進めないでいる。150年前の明治維新ように、もう一度、自分たちは遅れているということを認め、積極的に進んだ国から学ぶ姿勢が必要。
注目のコメント
この計画通りに行くなら、景気に対する負荷は夏にかけて徐々に和らぐことになります。各国とも、行動制限に伴い生じた繰越需要(抑圧需要?)による反動を期待する声がありますが、英国の場合、私は慎重に見ています。
第一に、昨年7〜9月期の緩和時に繰越需要の相当が既に失われたのではないかと思われる点。
第二に、昨年11月以降現在までの制限時に、行動制限に対する先行き不安感から貯蓄性向が心理的に根強いてしまった可能性が危惧されます。
以上はヨーロッパで共通していますが、第三に英国の場合、雇用情勢の悪化が他の諸国と比べても顕著である点が、景気回復のドライバーである個人消費の重荷となると懸念されます。
コロナ直前の英国は、EU離脱で大陸からの労働供給が途絶えたことで労働需給が引き締まり、完全雇用に近い形でした。景気とは跛行した労働需給の引き締まりであったため、コロナによる景気悪化に伴う雇用の悪化の「のりしろ」が、大きなものになったのではないかと考えられます。もちろん、英国でも雇用繋ぎ止め政策は取られていますが。
あと、本来ならばロンドンはグローバル都市です。人の往来がないと、英国経済はやはりダイナミズムに欠けてしまいます。英国は人口あたりではイスラエル、UAEに次ぐスピードでワクチン接種を進めています。
それでも移動制限を早期に緩和すれば来年夏までに8万人が亡くなる可能性があるというモデル計算なども検討され、今回の慎重な4段階の緩和策につながったようです。
夏までには全ての成人でワクチン接種を終えるというスケジュールを掲げています。昨年はバカンスシーズンの移動が欧州の第二波を招きました。
今年は移動の条件、具体的にはワクチン接種の証明やPCR検査の結果などを求めかどうかが大きな論点になるでしょう。諸外国は、こういう風に、いつまでにどうする、という具体的な目標を掲げて、そこに向かって皆を先導していくリーダーが多いように思います。一方日本は、いつどうなるのか、の先行きが非常に不透明です。
これは、成功することよりも、失敗することを恐れる国民性の問題なんですかね??
これだけの有事だと、出来るかどうかはさておき、先行きを出してくれるリーダーを望みたいです。