2021/2/23
世界規模の「ウイルスモニタリング」でパンデミックを防げ
数千種のウイルスを常時観測
昨年の夏、マイケル・ミーナ博士は冷蔵倉庫会社と、ある契約を結んだ。
新型コロナウイルスの感染拡大で、飲食店の多くが休業や閉店に追い込まれたため、倉庫会社には冷凍庫が余っている。
一方、ハーバード大学T・H・チャン公衆衛生大学院で公衆衛生を研究するミーナ博士のもとには、全米各地からヒトの血漿の入ったバイアル瓶50万本が続々と届いていた。
最も古いものは、新型コロナが猛威を振るうことなどまだ知る由もなかった、2020年1月のサンプルだ。
現在、研究室の超大型冷凍庫3台に収められている血漿サンプルは、ミーナ博士とその仲間たちが、「世界免疫観測所(Global Immunological Observatory、略称GIO)」と呼ぶパイロットプロジェクトの要と言える。
博士らは世界中から血液を集めて検査し、数百数千に上るウイルス抗体を観察・測定するモニタリングシステムを構築しようとしているのだ。