またも厚労省! 接触アプリ不具合が明らかにした日本ITの深い闇

無責任を生む多重下請け構造

不具合が放置されていた接触確認アプリは、随意契約で発注されていた。そして、さらに下請けに発注されていた。こうなると、責任の所在が曖昧になる。

多層下請け構造では、途中で中抜きが行なわれる結果、IT労働者が低賃金になる。デジタル庁の最重要の役割は、こうした業界構造を改革し、世界に向けて開かれたIT産業を作ることだ。

なんと不具合、4ヵ月放置

接触確認アプリ「COCOA(ココア)」の不具合が4ヵ月間放置されていた。約2500万人に上るCOCOAの利用者のうち3割にあたる772万人のAndroid版利用者について、陽性者と濃厚接触した場合でも「接触なし」と表示されていた。

厚生労働省HPより

「通知が来ないので安心」と思っていた人には、ショックだ。国民の命に直接かかわる仕組みについて、4ヵ月も不具合が放置されていたというのは、信じられないような大問題だ。

 

2020年9月6日の「厚生労働省のITシステムは、なぜこうも不具合が多いのか?」 で、COCOA、HER-SYS(ハーシス)、雇用調整助成金申請など、厚生労働省のシステムがつぎつぎに問題を起こしたことを述べた。

問題は終わっていなかった。「またか」ということになる。

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