【トップリーグ観戦記】トヨタVS東芝

2021年2月20日 
トヨター東芝

いつまでも2019年のW杯から日本のラグビーのことを考えてはいけないと思います。

2021年のトップリーグ、日本のラグビーは、2019年を卒業して、新しいあゆみを示さなければならない1年だと思います。コロナがあったことで1年の空白が生まれたことで、逆にそのような気運は生まれやすい状況にあるはずかと。

たくさんの世界のトッププレイヤーが日本に来ていて、南半球はもとより、今回は北半球からもW杯で活躍したクラスの選手がそこそこやってきています。ここで、彼らに「日本はおそろしい」という印象を与えなければならないと思うのです。シーズンオフ、母国に帰って、「日本へのバカンスはどうだった?」と聞くチームメイトに、「日本はやばいよ。しんどいよ。行かない方がいい」くらいのインパクトを見せなければならないでしょう。

その気概を日本は示さなければならないと思います。いつまでも、ラグビーをお祭り気分でやってはいけない。そして、見てはいけない。日本はまだ駆け出しの新興国です。だからこそ、恐ろしい、対戦国に対して恐怖を与える駆け出しでなければならないと強く思います。

その意味では、J-SPORTSのこの試合の解説の大西さんと実況の方は、最低のクオリティだと言わなければならないでしょう。海外から以下にいい選手が来たか、リードとフーパーが一緒にやるからすごいだとか、まるでアイドルが来たかのような騒ぎぶり。メディアがそういう、いつまでもW杯気分だから、見る方もそういう気分になってしまいます。そうじゃない。リードもフーパーも秋のシーズンをしっかり戦っています。それでも日本に来ているのです。野球ならば、ペナントシーズンが終わってから、戦っている、ようなものです。そんな彼らを、フルボッコにするつもりがなくてどうするのでしょう。日本のラグビーの気概を見せつけ、彼らを叩きのめす、ここはそういう場であるはずです。


スターを迎えて、キャッキャとしているメディアは弊害でしかないです。途中から気持ち悪いので無音で放送は見ることにしました。。。

是非とも、放送をする方は、自分たちも日本ラグビーを本当に強いものにするための役割を担っていることを肝に銘じてほしいです。

<前半>

晴天明朗、風少なし。気温は初戦としては高めで、終盤のフィットネスがどうかな、というところ。
リーチの髭が長いのが気になります。。

出だしは東芝が「今日はキッキングゲームをしない」という意思表示をするかの如く、キックオフからつないで攻めてくる。トライに至る精度はないが、この辺りの戦略が終盤どう出てくるか。

先に得点をしたのはトヨタで、ラインアウトからのリターンパスで密集サイドを11番のヘンリージェイミーが抜けてあっさりとトライ。

その後のフェイズでは東芝が敵陣に迫り、ゴール正面15mほどでPGチャンスを得るも、狙わずにラインアウトを選択。しかも、そのラインアウトからのアタックですぐにミスをして得点機をフイに。東芝は今年もこれでいくのだろうか・・

トヨタはルルー、クロニエのキックが安定しており、効率的に対応をしているように見えました。2つ目のトライは、密集サイドでこぼれたボールをルルーが拾ってそのまま独走してトライ。マイボールラックで、SHがいないところでボールカバーを誰もしていないというのはお粗末。もったいないトライ。

20分過ぎにも東芝は相手陣に攻めながら、ミスからカウンター受けて一気に自陣ゴールラインまで持っていかれていて、前半はトヨタがカウンターでのビッグゲインが目立ちました。東芝は前のめりなのか、抜かれた後がぽっかりと荒野が広がっていることが多い。

そうこうしているうちに3本目も、3次攻撃くらいであっさりリターンパスからラックサイドの近くを駆け抜けてトライ。

ここで21−0。せめている時間は東芝長いけれど、雑な対応でもったいない差になっている印象。

前半の最後に、東芝は敵陣のゴール前ラインアウトからしっかり組んで、あっさりトライ。一度も崩れずに10mくらいを押した。この辺りはトヨタのモールディフェンスは残念。

お互いにディフェンスに粘りが少なくて、淡白なやりとりが多いのがとても気になりました。ただ試合としてはこの一本で面白くなったところで前半は終了。

<後半>

引き続き後半の初めはトヨタのキッキングゲームがある程度奏功していて、特に今日はクロニエがゲームキックと共に、ゴールキックが素晴らしい。結局は彼のキックがモノを言う試合になっていくのですが。

東芝は後半も引き続きキックを極力控え、言ったら、かなりぶん回している。これで彼らは後半20分以降、フィットネスが持つのだろうか。あるいは、トヨタの方が疲労がくるのだろうか、そこが試合の分かれ目になりそうな雰囲気の後半の初めは膠着気味。

後半10分にフーパーが登場。会場は盛り上がります。
そのすぐ後に、東芝がゴール前のスクラムからセンターがちょっとアングル変えて入ってきただけであっさりとトライ。これは、正直トヨタのセンター陣のサボりでしょう。セットからの流れで、単にカットインしてきただけ。この辺り、トヨタのディフェンスは淡白。

さらに東芝はもう1本。ミスをついてあっさりとトライをして、ここで6点差。1トライ1ゴール圏内に。

ただ、この次のキックオフをトヨタはしっかりとマイボールを確保し、そこからきっちりと攻めきってノーホイッスルでトライ。アタックの流動性が高く、このチームの質の高さを感じさせる攻撃でした。

ここで13点差になって勝負あったか、に見えたのですが、後半20分を過ぎてからフェイズが変わりました。

20−30分のところでは、双方がいい攻撃をしながら得点できず、と言うのを繰り返しましたが、東芝はしつこく自陣の5m付近からでもぶん回して攻撃を続けていて、豊島のビッグゲインから最終的にトライにつながりました。

ただ、このゴールキックを小川に替わった中尾が決められない。。。結局この1本が大きな分かれ目に。決まっていれば6点差、外したので8点差。残り10分。

後半30分を過ぎてからの攻防はなかなか見応えがありました。ここまでトライチャンスは確実にものしてきたのがトヨタでしたが、20分以降は、攻めても取りきれない、と言うことが続き、フィットネスは明らかに東芝に分がありそうでした。
それに対して、残り10分を切ってからも、自陣ゴール前からまわしにまわして、最終的にリーチのトライにこぎつけた東芝は、こういう展開をゲームプランとして考え、そのためにフィットネスをしっかり準備してきたな、と言う印象。その点では今日の試合は、最終的に1点差でトヨタが逃げ切ったけれど、試合内容は東芝の優勢、といっていいでしょう。その分、前半のラック周りのエアポケットのようなところを突かれた3連続トライはあまりにももったいなかったです。

ただ、試合は勝たないとダメで、その点では今日のMVPは全てのゴールキックをきっちり決めたトヨタの10番のクロニエでしょう。東芝は、小川に劣らないキッカーがいれば今日は劇的に逆転勝利!となっていたかも。

トヨタは明らかに最後は青色吐息。後半20分以降の戦い方は決して褒められたものではなくて、ディフェンスの粘り腰のなさなども相変わらずで課題の多い内容。スターを多く迎えているけれど、まだチームとしては前途多難に見えました。

試合は東芝の追い上げでなかなか痺れるものになり、会場も大いに沸きました。ただ、今日の試合はあまりにも、試合が途切れすぎで、流れがすぐに切れてしまい、インプレー時間がすごく短く感じました。なので、全体として、攻守の切り替えや、連続攻撃の継続によるダイナミックな展開が少なく、少し面白みにかける展開だったと感じます。


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