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ワクチンの有効性は、試験の中では数字として示されますが、個人レベルでは何も感じることができません。抗体ができたかどうかも、感染症にかからなかったという結果も、体の変化として感じ取れるものではありません。
むしろ本来重症になるはずであった人がワクチン接種後に軽症COVIDを発症した場合、実際にはそれもワクチンの有効性と考えられるものの、「ワクチンを接種したのに感染した」と感じられるかもしれません。
一方、副反応が出れば容易に身体の変化として感じられます。ワクチンの副反応には、発熱や疼痛など、自覚しやすい症状が並びます。
このように、病気を治す「治療」とは異なり、「予防」では有効性が見えにくく、副反応ばかりが見えてしまうことに注意が必要です。副反応の報道は今後も盛んに行われると思いますが、そればかり報告が目立ちやすく膨張されやすいという情報の偏りのリスクがあります。
副反応の報告を慎重に観察する大切さに変わりはありませんが、我々は大きな偏りのリスクに晒されていることにも注意を払う必要があります。
あとはその伝え方がとても大事で、騒ぎ立てたり不安をあおったりせず、
今回のような蕁麻疹などの副反応は起こり得ると想定されていること、起こり得ると想定してちゃんと対応が準備されていること、などが冷静に伝わるとよいなと思います。
記事中にある、官邸のワクチン情報アカウントはこちらです。私もフォローしたど。
https://twitter.com/kantei_vaccine/status/1362960369904312323
前者は、アナフィラキシーなど、後者は、接種部位の痛み・腫れ、倦怠感や発熱、頭痛等があり、その発生率は、現時点で出されているデータでは、前者では20万人に一人、後者は、1~7割程度となっています。
つまり、後者については、多くの方に出る反応であり、基本的に短期間で収まるので、それほど心配しなくてもよいと考えられます。
もちろん、ワクチンを接種するかの最終的な判断は、個々の方に任されるわけですが、少なくとも、報道や発表は、科学的・客観的、かつ、リスクとベネフィットを併せて論じないことには、ミスリーディングで、適切な判断を妨げるおそれがあります。
日本は、1970年代以降の予防接種禍により、ワクチン後進国となりましたが、今回の新型コロナワクチンは、日本のワクチン政策や開発製造が、さらなる後退をしていくのかの、判断の分かれ目にあるように思います。
少なくとも、歴史的経緯を無視して、「なんで日本は承認が遅いんだ、なんで国内メーカーが生産できないんだ」となるのは、個人にとっても社会にとっても、残念なことです。
今後も、誰かがワクチン接種をし、「副反応」をツイッターで発信することは、頻繁にあり得ると思います。臨床試験の結果からは、何らかの副反応がある方はワクチン接種群でおそらく80%以上程度と読み取れ、プラセボ(偽薬)接種群でもないわけではなく、おそらく30%以上程度と読み取れるわけですから。
ファイザー社製ワクチン「コミナティ筋注」の添付文書が厚生労働省より医療関係者向けに公開されています。集計ベースは、ほとんどが海外で行われた臨床試験によります。
https://www.mhlw.go.jp/content/11123000/000738743.pdf
もちろん、発信した方が悪いなどというつもりはありませんし、様々な情報は有益ですが、専門領域の場合は基礎からの知識が必要になるでしょう。「単なる誰かの発言」を気にして、「本当のことがわからなくなること」の方が怖いのではないかと思いますので、気を付けたいです。
いずれにせよ、単に副作用のみを気に留め、有効性(ベネフィット)の観点が欠落することは良くないのではと思います。医薬品の認可の原則は、ベネフィット>リスク であり、専門家がさまざまな視点から分析したデータをもとに審査されます。当ワクチンは、その審査に合格しています。医師をはじめとする医療従事者のアドバイスにこそ耳を傾けることをお勧めします。
製造メーカーからも・・・と思われるかもしれませんが、日本の法律は、製薬企業による一般の方への「医療用医薬品」の広告を禁じています。日本では、これに抵触することを各企業は気にしますので、製薬企業から直接一般の方に、情報が提供されることはまずありません。このポリシーは国によって異なり、例えば米国の法律は、直接情報提供(広告)を認めています。そこに問題がないわけでもないのですが・・・
やはり、こういう時には、Twitterは有用ですね。
ところで、素人疑問ですが、副反応は、アレルギーがアクティブな時の方が出る確率が高いとかあるのでしょうか?
今、日本ではスギ花粉症のピークを控えています。花粉症が酷い人は気をつけた方が良いとかあるのでしょうか?