2021/2/20

【核心】医療体制から見る五輪の現実味

NewsPicks 副編集長(サイエンス担当)/ 科学ジャーナリスト
「COCOAをダウンロードしましょう」「(日本国内の移動で)許可なく公共交通機関を使ってはいけません」──。
2月3日、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックに向けて、「プレイブック」と呼ばれる新型コロナウイルス感染症(Covid-19)対策のガイドラインが発表された。
来日する競技関係者向けに、大会組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の3者が合同で作成したものだ。
しかし、この発表がメディアに取り上げられることはほとんどなかった。
この日の午後に発生した組織委員会の森喜朗会長(当時)による失言に、国内外から批判が殺到したからだ。
悪い出来事は重なる。
厚生労働省が運用するスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA」。そのアンドロイド版に生じた不具合が4カ月以上放置されていたことも、まさに同じ日に公表された。
組織委員会内からは「大会の実現に向けて具体的な道筋を立てて準備していることを打ち出す、重要な日のはずだったのに……」と落胆の声も漏れた。
オウンゴールが相次いだ格好だが、そもそも、パンデミックが続いている中で、予定通りの7月23日に五輪を開会できる可能性は果たしてどれだけあるのだろうか。
東京五輪・パラリンピックをめぐる現実と背景を伝える特集「東京2020のリアル」。第1回では、新型コロナの感染状況と医療体制から実現の見通しを探る。

感染状況は延期時よりはるかに深刻