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これにより、運転手側には、最低賃金規制の適用やその他の福利厚生を受ける権利が生じると。具体的な内容は、今後、労働裁判所レベルで判断されるとのことですが、ビジネスモデルそのものに影響が出そうですね。
わが国では、2020年7月に閣議決定された「成長戦略実行計画」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/ap2020.pdf
で、フリーランスとして業務を行っていても、(a)実質的に発注事業者の指揮監督下で仕事に従事しているか、(b)報酬の労務対償性があるか、(c)機械、器具の負担関係や報酬の額の観点から見て事業者性がないか、(d)専属性があるか、などを総合的に勘案して、現行法上「雇用」に該当する場合には、契約形態にかかわらず、独占禁止法や下請代金支払遅延等防止法に加え、労働関係法令が適用されることを明確化することとされている。
本件は、特定の25人に限定した話であり、多くのUberドライバーの話ではありません。
https://www.wsj.com/articles/uber-faces-setback-as-u-k-court-rules-drivers-are-entitled-to-worker-rights-11613729882
もちろん将来的に他にも適用されていく可能性は大いにありますが、現時点でUberのドライバー全員に同補償がなされるわけでは全くないです。この差は小さいようで大きいと思います。
なお、同判決はいわゆるギグエコノミーと呼ばれるビジネスモデルのターニングポイントを意味し、実際に各プレイヤーはこれによりむしろ「雇用量削減や働き方の柔軟性低減をせざるを得ない」と述べています。
つまり、そもそものビジネスモデルの根本がひっくり返りますね。シェアリングビジネスにおいて、特に今回のUberは、労働者の隙間時間を有効活用したプラットフォームです。好きな時間に好きなだけ働けるというのは本当に革新的でした。それが覆るということです。従業員で判断されると、確保できるドライバーの数が減り可能性もあり、プラットフォームとしての成長にも歯止めがかかりそうです。
そして、これを受けて、uber値上がりしそうですが、コロナ禍でuberに頼っている消費者やビジネスが沢山いる中で、色んなところにインパクトが出そうですね。
Uberのビジネスモデルの根幹は、GPS、スマホ、電子地図、キャッシュレス決済、クラウド、ビッグデータ、AIによる分析等々の新技術を組み合わせて素人が持つ自家用車と客とを安心安全に結び付け、政府のお墨付きなしにタクシー同様の社会インフラを作ることにあったはず。使われぬまま殆どの時間を自宅の駐車場で過ごす自家用車を所有者が暇な時だけ活用して客を運ぶのですから、専用の車も駐車場も要らず運転者も小遣い程度の報酬が得られれば十分で、タクシーより台数が多く安全で遥かに安くサービスの提供が可能です。これは、政府が安全安心を担保する従来型のタクシーとは全く違う社会インフラで、Uber eatsなんかも本来の発想は同様です。
ところが、Uberに席巻されるなどして仕事を失った人々が「ギグエコノミー」に参入し、車・バイク・自転車等を準備して生業とすると話がややこしい。プロ(≒従業員)と認めなければ生活が成り立たず、貧困層が生まれてしまいます。Uberのみならず「ギグエコノミー」全般が抱える問題ですが、これを既存の規制で縛ると“デジタルトランスフォーメーション”と呼ばれる社会の変革が遅れます。『ウーバー側も、同裁の判断を尊重すると表明した』とのことですが、裁判所の判断に従って全てのギグワーカーを従業員にしてビジネスモデルをコストの高い従来型の社会インフラに戻すのか、“プロ”のギグワーカーを排除して新しいビジネスモデルを追求する方向に向かうのか・・・ ギグワークを生業とする人々が増えているだけに、結構難しいところかも (・・;ウーン
今後の他国への影響に要注目ですね。
従業員か否かという論点ではなく、働いている人たちの保証や支援をどうするかが論点な気もします。日本でも業務委託や副業人材は従業員ではないですが、従業員と同等の働きをしている人たちも多くいますし。
日本の場合、使用者との間に「指揮従属関係」があることが労基法上の労働者であるための要件です。
「働く時間や回数」等について自由度の高いウーバー運転手(日本ではウーバーイーツの配達員)が、労基法上の労働者に認定されることはないでしょう。