[ワシントン 18日 ロイター] - 米ゲーム販売ゲームストップ株の乱高下を巡る米下院金融サービス委員会の公聴会が18日開かれ、ヘッジファンド「シタデル」のマネージャーや株式取引アプリのロビンフッド・マーケッツの幹部らが、議員から厳しい質問を浴びた。

ゲームストップ株を巡っては、大手ヘッジファンドに対抗した個人投資家が「レディット」で呼び掛けて投機的な買いを集中させ、その影響が市場全体に及んだ。

さらに、決済機関がロビンフッドなどに巨額の追加保証金を求めたほか、ゲームストップ株の売買が制限されるなどの事態に発展。取引制限を行ったことは大手ヘッジファンドを利する対応で、個人投資家に損害を与えた可能性があると問題視されている。

オンライン形式で開催された公聴会に臨んだのは、ヘッジファンド「シタデル」のケン・グリフィン最高経営責任者(CEO)、ロビンフッドのブラッド・テネフCEO、ヘッジファンド「メルビン・キャピタル」のガブリエル・プロトキンCEO、レディットのスティーブ・ホフマンCEOのほか、「ローリング・キティ」の名でSNSに投稿し、ゲームストップ株への投資を公言していた著名ユーチューバーのキース・ギル氏。

特にテネフ氏とグリフィン氏には民主、共和両党の議員から厳しい質問が相次いだ。

テネフ氏は、ロビンフッドの取引制限措置が顧客の混乱を招いたことを謝罪。その上で、この措置を決定するにあたりヘッジファンドの影響は受けていないとし、取引を制限しなければ、状況は「かなり悪化」していただろうと述べた。

民主党のブラッド・シャーマン議員は、ロビンフッドのマーケットメーカーであるシタデル・セキュリティーズの過半数株式を保有するグリフィン氏に対し、マーケットメーカーが全てのブローカーに同じ価格を提示しているかと質問。グリフィン氏が回答を巧みに回避したことを非難した。

全ての当事者はシタデルやシタデル・セキュリティーズがロビンフッドの方針に影響を与えようとしたとの見方を否定した。

ギル氏とホフマン氏に対しては、市場操作を巡るソーシャルメディアの役割に関する質問が飛んだ。

ホフマン氏は「レディットでは、プラットフォームの信頼性を確保するため多くの時間を費やしている。今回のケースで、操作の兆候は見られかった」と述べた。

ギル氏は「私は、ゲームストップへの投資やソーシャルメディアへの投稿を自分自身の調査と分析に基づいて行っている個人に過ぎない」と語った。

<緊迫、激論、子猫の写真>

公聴会は、緊迫した雰囲気の中、5時間以上にわたって開催された。

公聴会を主導したのは下院金融サービス委員会のウォーターズ委員長(民主党)。同委員長はウォール街に批判的で、1月にはヘッジファンドが「非倫理的だ」と批判している。

一部の議員は、証人の発言を遮り、明確な答えを示していないと批判。ウォーターズ委員長は、公聴会をさらに開催し、証券取引委員会(SEC)と金融取引業規制機構(FINRA)の関係者も証人として呼ぶ意向を示した。

ウォーターズ委員長は、個人投資家が利用されていると「かつてないほど懸念している」と発言。シタデル・セキュリティーズのような大手マーケットメーカーが金融システムのリスクになりかねないとの認識を示した。

著名ユーチューバーのキース・ギル氏は、ゲームストップ株への投資を公言する動画を作成した際に利用した赤いゲーミングチェアに座って公聴会に出席。背後には「くじけるな」との文字が書かれた子猫のポスターが飾られていた。

ギル氏は「私はあの株が好きだ」と発言。レディットには、公聴会の模様を見ていた人から「(ギル氏は)救世主だ」「ヒーローだ」といった投稿が寄せられた。

*内容を追加しました。