[東京 18日 ロイター] - 東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会の新たな会長に、橋本聖子前五輪相が就任した。女性蔑視発言で辞任した森喜朗前会長の後を継ぎ、残り5カ月余りとなった開会式に向けて舵を取る。五輪相の後任には丸川珠代参院議員が再登板する。

橋本氏は会長就任後に会見し、新型コロナウイルスの感染拡大が収束しない中で「(五輪を)やるべきでないという声が多いことも理解している」と話す一方、「アスリートが誇りに思える大会にすべく全力で取り組む」と語った。

国際オリンピック委員会(IOC)は新会長決定を受け、バッハ会長が声明を発表。橋本氏が五輪担当相だったこと、選手としてメダルを獲得にしたことなどに触れた上で「この職務に完璧な選択」だとした。菅義偉首相は官邸で記者団に対し、「国民や世界から歓迎される安全安心な大会に向け、全力を尽くしていただきたい」と橋本氏への期待を語った。

組織委員会はこの日午後に理事会を開き、橋本氏を新会長に選出した。橋本氏は理事会に先立ち菅首相と面会し、国務大臣の辞職願を提出した。

組織委の会長は、女性蔑視発言で批判を受けた森喜朗氏が12日に辞任を表明。日本サッカー協会の川淵三郎元会長を後任に充てる方向で調整が進んでいたが、プロセスが不透明などと批判が広がり、川淵氏は辞退。組織委は候補者検討委員会を設置し、人選を進めてきた。

橋本氏とは別に会見した検討委員会の御手洗冨士夫委員長は、17日に橋本氏に電話で打診をした際は即答してもらえなかったことを明かした。その上で御手洗氏は「オープンで透明性の高い手法で新会長が誕生した」と語った。

橋本氏は五輪を成功に導くだけでなく、ジェンダーや組織委の統治問題などにも取り組むことが求められる。橋本氏は会見で、「理解してもらえる改革を早急にやらせてほしい」と語った。

ジェンダー問題などに詳しい北海道大学大学院の池田恵子教授は、「同質集団の中で中心の椅子を変えるというのは不可能に近いぐらい難しい」と指摘。「オリンピックには近代スポーツの古い体質を抱えているけれど、国際性は忍び込んでいる。だから今回のように外圧が働いた」と話す。

都内で働く56歳の女性はロイターの取材に対し「女性のトップは日本では数が少ないので、これを機に女性の意識も男性の意識も変わっていただきたいと思う」と語った。

(宮崎亜巳、久保信博 取材協力:金昌蘭 編集:石田仁志)