【2月17日 AFP】マレーシアのドリアン生産者は、長引く新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)で国内消費が落ち込んでいることから、対中国貿易への依存を高めている。

「果物の王様」と呼ばれるドリアンは、東南アジア一帯に生育しており、苦くて甘い味と、クリーミーな食感が人気だ。だが、嫌いな人は強烈なにおいを生ごみのようだと評しており、多くのホテルや公共交通機関で持ち込みが禁止されている。

 マレーシアの最初のロックダウンは、ドリアン消費にあまり影響しなかった。しかし、新型ウイルスの感染が再拡大したため、当局は長期間にわたる新たなロックダウンを実施した。これにより経済が再び悪化し、ドリアン産業も大きな打撃を受けた。

 ドリアン屋台からは客がいなくなり、売り上げは急激に落ち込んだ。

 デュライ・フルーツ・エンタープライズ(Dulai Fruits Enterprise)の貿易・経営部門責任者、エリック・チャン(Eric Chan)氏は、「昨年と比較すると、国内の売り上げは良くない」とAFPに語った。

 収穫したドリアンの大半は、新型ウイルスが最初に確認されたが流行を抑え、再び経済が成長をしている中国に輸出される予定だ。

 トップ・フルーツ(Top Fruits)のタン・スー・シアン(Tan Sue Sian)社長は「もし輸出がなくなれば、あるいは輸出向け在庫がなくなれば、業界全体が崩壊する」と述べた。

 ドリアンの輸出は、中国での需要増加に合わせ過去10年で爆発的に拡大し、1キロ当たり60リンギット(約1600円)以上で取引されている。

 以前は果肉やペーストに限られていたが、中国当局が2019年に丸ごとの冷凍ドリアンの輸入を許可したことが、輸出をさらに後押しした。(c)AFP