[サンフランシスコ 16日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀は、新型コロナウイルス感染拡大を受けた学校閉鎖で大学卒業者が減少する一方、高校中退者が増加し、米国の経済成長に長期的な影響が及ぶとする論文を公表した。

論文は、学校閉鎖を受け大学学士号取得者が減少する一方、高校中退者の割合が最大1%ポイント上昇すると予想する昨年の研究に基づいて作成された。

大卒者の賃金がそれ以下の教育しか受けていない人たちよりはるかに高水準にあることを踏まえると、全般的な教育水準の低下により、向こう70年間にわたり米国の年間国内総生産(GDP)が平均して0.25%ポイント縮小する可能性があると試算。影響が最も大きくなるのが2045年で、この年のGDPの縮小幅は1500億ドル弱に達するとした。

このほか、低所得層は高所得層ほど学ぶ機会を取り戻せないため、学校閉鎖が所得格差の拡大につながる恐れがあると指摘。「現時点における子どもの教育現場での混乱で、経済の生産能力に根強く、かつ大きな影響が及び、将来的な経済成長が損なわれる恐れがある」と警告した。