韓国バレーボール協会が15日、女子代表で双子姉妹の李在英(イ・ジェヨン=24)、李多英(イ・ダヨン=24)に対し、代表活動無期限禁止を発表した。学生時代にチームメートを暴行し、いじめていた過去が判明したため、2人が所属するプロチームの興国生命も期限を設けず公式戦出場を禁じた。2人とも韓国代表では不動のレギュラーだが、東京五輪出場は難しくなった。当然、メダル獲得の可能性は大きく後退するが、韓国の判断はメダルより学校暴力阻止に価値を置いた。

2人は暴行していた事実を認め「被害者に直接会って謝りたい」と言っているが、世論は「無期限禁止ではなく、永久追放すべき」など厳しい意見が多い。韓国は、学校暴力が社会問題になった時期があり、今でも耐えられず命を絶つ子供がいる。日本でも同じ問題が表面化したこともあるが、対応策や価値判断には違いがある。

私はソウルで生まれ、19歳で来日した。以降33年間、日本で生活しているので、比較的、両国の価値観や考え方を理解していると、自分では思っている。

日本は「学生の時は不良でした。今は真面目に頑張ってます」「子供の時に番長やってました。今は生まれ変わりました」「昔はワルだった」などと公言するスポーツマン、芸能人がいて、過去の過ちから立ち直ったことを美談としてとらえられる傾向がある。元不良に再生する機会を与え、過去は過去として今の成功に目を向けがちだ。

一方、韓国ではどうか。同様の過去が明らかになった場合、まずは当時被害を受けて苦しんだ被害者のことを考える。いじめられたことが原因で、将来プランが崩れた人もいるだろう。いまだにトラウマに苦しむ人もいるし、ひどい場合には自らの命を絶つ人もいる。当時は人格的にも年齢的にも未熟だったにせよ、何年前だろうが、加害者は社会的制裁を受けるべきで、再生するのは罰してからと思われる節が強い。

双子の李姉妹が日本人ならどうだったか。「なんでいまさら?」「よく立派に再生した」「罪滅ぼしのためにも、東京オリンピックで頑張れ」という流れになりはしなかっただろうか。果たして、学生時代の暴力が代表剥奪までつながるだろうか。賛否はあり、どういう対応が適切かはわからない。今回の裁定は、韓国ではおおむね違和感なく受け止められている。【盧載鎭】

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