[フランクフルト 15日 ロイター] - 独フォルクスワーゲン(VW)の幹部は、自動車向け半導体が不足している問題について、昨年の早い段階で新型コロナウイルスによる自動車生産への影響は限定的になるとの見通しをサプライヤー側に伝えていたと明らかにし、サプライヤー側の生産計画に問題があったとの認識を示した。

VWは昨年12月に半導体不足についていち早く指摘。半導体メーカーは自動車部門の早い立ち直りに生産が追い付かない状態に陥り、その結果、自動車各社は生産の縮小や停止を強いられた。

VWの幹部は匿名を条件にロイターに、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)により世界各地で自動車生産が停止していた昨年4月時点で同社は既に、サプライヤー側に2020年下半期の力強い回復を見込んでいると伝えていたと述べた。

同社は、昨年11月末にサプライヤーのうち1社から半導体不足について知らされたが、警告のタイミングが遅過ぎたとしている。

幹部は「われわれは当社側の要求を早い段階で伝えていた。要求を裏付ける当社の予測も伝えていた」と強調。「サプライヤーがわれわれの数字を信じないで自らの予測を参考にするのならば、そのようにわれわれに知らせるべきだった。実際は知らされなかった」と語った。

今回の問題では、自動車サプライチェーンの脆弱性を特定することが課題として浮上しているほか、半導体不足の責任の所在を明確にすることが、今後訴訟に発展した場合に重要になるとみられる。

自動車メーカーは半導体の調達で家電業界と競っており、現在の半導体不足は複合的な要因がありそうだ。

同幹部は、異なる需要予測が現在の問題を招いた可能性があると指摘。VWは半導体の供給が2021上半期も逼迫状態が続くと予想している。