ロイホとの提携、出遅れた双日には「渡りに船」

ロイヤルホストの店舗=東京都中野区(三尾郁恵撮影)
ロイヤルホストの店舗=東京都中野区(三尾郁恵撮影)

 総合商社の双日にとり、ファミリーレストランの「ロイヤルホスト」や天ぷらチェーン「てんや」などを展開するロイヤルホールディングス(HD)との資本業務提携は、「千載一遇のチャンス」だ。他の大手商社が、資源ビジネスからコンビニエンスストア事業などに経営資源をシフトする中、双日は生活関連事業で他社に大きく出遅れている。15日に共同会見した双日の藤本昌義社長は、今回の提携話は「渡りに船」だと、その心情を吐露した。

 ロイヤルHDは、新型コロナウイルス禍を受けた外出自粛で消費者の外食離れが進み業績悪化が進む。また、創業事業ともいえる航空機の機内食事業も、大幅減便で極めて厳しい状況に陥った。

 ロイヤルHDの菊地唯夫会長は、財務基盤の回復や経営の効率化を実現するには「パートナーが必要」として、昨年9月ごろから証券会社などを通じて相手候補を探していたという。ファンドなども候補になったが、最終的には双日が選ばれた。海外展開や機内食事業の効率化には、空港ビジネスも手掛ける双日との提携が魅力的だったようだ。菊地氏は「ほかの総合商社と比べても双日を選ぶだろう」と期待を寄せる。

 双日は、令和3年3月期が最終年度となる中期経営計画で750億円の最終利益を目標に掲げるが、新型コロナの影響で予想は300億円にとどまる。それでも黒字は確保しており、余力があるうちにロイヤルHDと提携し次の成長分野を取り込みたい考えだ。

 コロナ禍で新規の海外投資案件が開拓できないという事情も、双日をロイヤルHDとの提携に向かわせた。藤本社長は「中期経営計画の3年間で、3千億円の投資を計画したが、2600億円程度で終わるもようだ」と述べた。

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