2021/2/22
「顧客の課題」の発見には、“多様性の高い組織づくり”が必要だ
NewsPicks, Inc. Brand Design Editor
消費活動のオンラインシフトが加速している今、多くの企業が事業戦略の抜本的な見直しを迫られている。
顧客の課題を「解決する」のではなく、まず「気付く」ことが企業に求められる時代。
アクセンチュアの「カスタマー&セールス コンサルティング」をリードするマネジング・ディレクターの木原久明氏は、「顧客がまだ気付けていない課題の発見には“多様性”がカギを握る」と語る。
そのため「カスタマー&セールス コンサルティング」は、年齢、性別、歩んできたキャリアを問わず、多様な才能を持つ人材を集めることで、変化が著しいクライアントの成長にコミットしてきたという。
なぜ顧客の課題の発見に、多様性が必要なのか。多様性の高い組織づくりで実現する働き方や成長とは何か。
木原氏と、アクセンチュアに新卒入社し、事業会社を経て昨年再入社したマネジング・ディレクターの藤井亨子氏に話を聞いた。
- 「顧客の課題」をいかに発見するか
- なぜ「多様性」がカギを握るのか
- 多様性が「当たり前」のカルチャー
- 膨大なネットワークが手に入る場所
「顧客の課題」をいかに発見するか
──木原さんは、アクセンチュアで15年以上、戦略・経営コンサルティングに従事されています。クライアントからの期待、仕事内容にどのような変化を感じますか。
木原 これまでのコンサルタントは、過去に弊社で支援した他社の事例をもとに、客観的な視点から支援をするケースが多かったです。
しかし、今のような変化の激しい時代では、他社の成功事例を参考にしているようでは、市場の変化に取り残されてしまう。
加えて消費者のニーズが多様化していく中で、顧客の本質的な「課題」を発見することができない限り、持続的な成長は実現できません。
そのためこれからのコンサルタントは、クライアントと伴走しながら顧客の課題を探索する、“顧客の先にいる顧客”を見据えた支援の形へとシフトしています。
では、顧客の課題をいかに発見するか。とても難易度の高いテーマですが、私たちが重視しているのが「多様性」です。
──なぜ顧客の課題に気付くために、「多様性」がカギを握るのでしょうか。
木原 多様化する顧客の「課題」を発見するためには、サービスを提供する側にも「多様な視点」が求められるからです。
クライアントから見たユーザー像だけでは捉えきれない姿も、多種多様な経験を持つ人材の視点があれば、顧客の課題を発見できる可能性は高まります。
そのため、年齢・性別・国籍に関係なく多種多様な背景や経験を持った人材を集め、多様性の高い組織づくりを目指しているのです。
藤井 私は昨年再入社し、15年ぶりに戻ってきたのですが、今のアクセンチュアは多種多様な専門家が集まる「課題解決の総合デパート」へと大きく変化していると感じます。
戦略立案、システム構築、アウトソーシングなど従来から得意とした領域だけでなく、データサイエンスやマーケティング、クリエイティブなど企業変革の実現に必要な多様な才能が集結している。
経営戦略に加えて、「実行」フェーズの多種多様な悩みに応える、才能や技術を備えた組織へと大きく変化しました。
私自身、前職の外資系メーカーでは新規事業の責任者を務めていたのですが、変革を実現するには優れた戦略だけでなく「実行」が必須だということを、身をもって体感しました。
当然ですが、どんなに優れた戦略があっても、実現しない限り価値は生み出せません。
今のアクセンチュアには、戦略から実行を一気通貫で実現できる才能が集結しています。
再入社したのも、「多様な専門家集団」とともに、デジタルを駆使して企業や社会を変えることができる、そう感じたからです。
なぜ「多様性」がカギを握るのか
── 一方で「多様性が高い」ということは、マネジメント上で非効率な側面もあるのではないでしょうか?
木原 確かに20世紀の工業化社会では、均一で標準化されたモノが全員に一律に行き渡ることがよしとされ、多様性はむしろ生産性の低下につながるものでした。
しかし、今のような顧客の課題が激しく変化する時代に「多様性が低い」ということは、生産性の議論以前に顧客に価値を提供することができません。
つまり、多様性がなければ、企業は生き残れない局面を迎えているのです。
組織にどれだけの多様性が生まれているかは、これからの企業成長の一つの指標にもなり得るのではないでしょうか。
また、他社の成功事例は通用しない時代に、何が成功するかは机上で論理的に考えるのではなく、「直感的に市場」で試していくしかない。
多種多様な才能を持った人材の視点から、市場にアウトプットを出し続けることが重要なのです。
──お二人が在籍する「カスタマー&セールス コンサルティング」は、多様性の高い組織づくり推進することで、どのような価値提供を目指しているのでしょうか。
木原 まずアクセンチュアは昨年3月に大きな組織変更を行い、大きく4つの部門に分かれました。
「カスタマー&セールス コンサルティング」は、以下の図のビジネスコンサルティング本部に属しています。
社会や顧客の課題とクライアントをつなぐことで、新しい価値を生み出し、企業成長を実現することがミッションです。
より具体的には、私たちはクライアントの「成長」に対し、以下の3つの視点からアプローチしています。
また、アクセンチュアには、業界・業種に特化した専門チームもありますが、私たちは特定の業界や業種に特化した組織ではありません。
なぜなら、私たちのミッションである「顧客の課題を発見し、成長にコミットする」ことは、全ての業界や業種に共通する問題だからです。
そこで私たちは、アクセンチュア社内の各産業に特化したコンサルタントとクライアントをつなぐハブとなり、多様性を武器に世の中に価値を提供していくことを目指しています。
多様性が「当たり前」のカルチャー
──多様性の高い組織をつくるためには、柔軟な企業文化が必要です。マネジング・ディレクターを務める藤井さんは、時短勤務かつリモートワークで働きながら、お二人の子育てと仕事の両立を体現されています。
藤井 はい。手前味噌ですが、アクセンチュアには、各々に合わせた働き方を尊重するカルチャーがあります。
例えば、アクセンチュア独自の働き方改革「Project PRIDE」が代表するように、性別や国籍だけではなく、さまざまな観点から多様性の高い組織づくりを推進しています。
私のように子育てと仕事の両立を目指す人間にとって、成果さえ出せば各々の価値観や状況に合わせた働き方を認めることが当たり前のカルチャーにはとても救われています。
実は最近、介護の時間も必要になってしまったのですが、このようなカルチャーがなければ、介護が必要になった時点で働くことを諦めてしまっていた可能性も大いにあったと思います。
──普段は、主にどのような業務に取り組まれているのでしょうか?
藤井 マネジング・ディレクターとして、シニア・マネジャーやマネジャーの提案資料へのレビューや、クライアントとのミーティングに時間を割くことが多いです。
リモートワークのため、社内外のプロジェクトメンバーとは、最初から最後まで対面で顔を合わすことなく、プロジェクトを終えることも珍しくありません。
──限られた時間の中で、価値を最大化するために心がけていることはありますか。
藤井 スタッフ、クライアントをワンチームとして考え、各メンバーがそれぞれの良さを発揮することで新しい価値を生み出せるようなチーム運営を日々心がけています。
このメンバーがそれぞれ最大限に才能を発揮すれば、どのような価値を生み出せるか? を常に思考し、個々のメンバーの良さを引き出すことで、プロジェクトを進化させることを目指しています。
木原 多様な才能を持ったメンバーが集まり新たな視点が加わることで、イノベーションを起こせるもの。
そのため「自分にない経験や能力を持つ人」をいかにマネジメントできるかは、マネジメントの重要なスキルです。
藤井 私一人でプロジェクトを推進しても、自らの視点以上の成果が出ることはありません。
スタッフやクライアントが持つ視点を深く理解し、統合、進化させていくことで、成果は120%にも150%にもなっていくもの。
そのため私自身も、常にさまざまなインプットを得て自分の視点を磨くことを意識しています。幸いにもアクセンチュアには、多種多様な知見を持ったメンバーが多く在籍しています。
彼ら・彼女らの知恵を学び、自らの視点に反映していく。何げない議論の中から、新しい価値提供につながる学びを得られる環境であると、日々感じています。
木原 性別や年齢、国籍や経験などの多様性はもはや当たり前の時代です。
アクセンチュアは、性別や経験などに紐づく視点ではなく、その人の才能や価値観から生み出される視点を大切にしたい。
多様な価値観を持ち、それぞれ異なる視点を持つ人材が集まる組織だからこそ、顧客の課題を発見することができる。
そして藤井さんのように、多様な価値観を受け入れることができる人が、さらにアクセンチュアでさまざまな価値観に触れることで、自らの視点は磨かれていくものだと思います。
膨大なネットワークが手に入る場所
──より多様性の高い組織づくりを実現するために、どんなメンバーを求めていますか?
木原 繰り返しになりますが、「顧客の課題に気付くには多様な視点が必要」な時代です。
そのため、「多様な価値観を受け入れる」ことを楽しめる方に、仲間になっていただきたい。はじめから、優れた視点を持つ必要はありません。
経験の多様性は、チームを超えた働き方を体現するアクセンチュアで身につければいい。
アクセンチュアであれば、多様な経験を持つ人材と働くことで、自然にそれぞれの専門性に特化した視点を身につけることができます。
「自分に何ができるか分からない、でも企業や社会に大きな価値を提供したい」、そんなメンバーも大歓迎です。
経験よりも大切なのは、企業や社会を変えたいという純粋な想いです。
そしていつしか、まだ私たちが気づいていない「価値観」を学ばせていただきたい。
藤井 同感です。さらに加えてお伝えすると、「アクセンチュアというアセットを利用して、世の中に新たな価値をもたらしたい」という気概を持つ人には最適な環境だと思います。
アクセンチュアは、さまざまな専門知識を備えた人材の巨大ネットワークだとも言えます。その膨大なネットワークやアセットを活用できれば、企業や社会に大きな変化をもたらすことができる。
前職の新規事業の立ち上げでも、新規事業に必要な知見を持った人材を獲得するのは非常に大変でした。
データサイエンティスト1人の採用でも、そのようなネットワークを持っていない企業にとっては難しいはず。
しかし、アクセンチュアでは社内で一声かけるだけで、すぐに専門家の知恵を借りられる。このネットワークが手に入るだけでも、非常に魅力的な環境です。
多様な経験を持つ人材と働くことで、自分に足りない視点・知見を獲得し、企業や社会に大きなインパクトを与えられる。これこそがアクセンチュアで働くことの、最大の価値だと思っています。
木原 アクセンチュアには、「クライアントの変化に対して、自らが貢献することで社会に価値を生み出していきたい」という志の高いメンバーが多く在籍しています。
ですので、お互いを尊重しつつ、純粋に企業や社会に新しい価値を目指すために、日々切磋琢磨できるのだと思います。
多様な専門スキルを持つ人材と、企業や社会の変革を実現できる経験は、きっとキャリアの糧になるはず。
ぜひ、私たちに少しでも共感いただける方がいたら、仲間になっていただきたいです。
取材:木村 剛士
構成:加藤 学宏
編集:君和田 郁弥
撮影:北山宏一
デザイン:月森恭助