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共通を共有する羊羹。茶的文脈でのプライベートな間つくり。

コロナによってほとんどのMTGがオンラインになった。しかも最近は30分/回でお願いすることも多くなり、効率化がとてつもなく進んだ。
以前は毎回のようにお茶を淹れ、もてなし、1時間ちょっとMTGしていた僕としては大きな変化だった。

そんなコロナな時代だからこそ「もしリアルで会うならばその1回の価値を高めたい」そんな思いから最近は実は和菓子を持ち歩くようになった。特に小さめの羊羹で季節を感じるもの。無意識にやっていたけれど、人と相対する仕事をしている人にはとてもよい習慣だったのでぜひシェアしたい。少しだけ抽象化した話もしようと思う。

羊羹がプライベートな間をつくる

MTGが始まる前に羊羹をあげるとだいたいプライベートな話が始まる。季節ものを大体あげるのでその季節の話が始まったり、和菓子に関するエピソードや、お茶会に行った話、特に好きな和菓子屋さんの話になることが多い。
そこからなぜか好きなお菓子や食生活について話すことになり、だいたいMTGのアジェンダは後回し。お茶を飲みながら1時間超が終わり、アジェンダはテキストでやりますか!となる。(いや何のために会ってるんだw)
明らかにアジェンダから始めるよりも仲良くなり、その後のテキストでのやりとりも圧倒的にスムーズに進む。これは羊羹の例だけれども、リアルの価値はこうなるのだと改めて実感する。

羊羹とは何なのか。キーワードは共通と共有。

ここでいう羊羹とは何かと考える。なぜか仕事そっちのけでプライベートな話を始めてしまうその理由とは何なのか。
私が考えたのは「共通」と「共有」が解なのではないかという仮説である。

最近THE GUILDの麦田さんとこの話をしたのだが、人は共通していることを共有することで仲良くなるのだと知った。茶席においても茶という共通する趣味を共有することで仲良くなるし、グルメ好きの会もまさにその通り。共通の共有がキーワードとなる。

その意味で言えば羊羹は同じものを食するわけだから共有はできるはず。あとは共通をどう生むかだけである。それができれば、雑な言い方だが、人は仲良くなれる。
その共通は羊羹の場合は#日本 #季節 #糖分補給 #仕事による疲れを癒す など例えば発見できる。羊羹をツールとして使い共通の文脈を作り、それを共有することによって人はプライベートな話をしやすくなるのでは?と解釈できる。

私にとって羊羹とは

最近羊羹を配る羊羹お兄さんになっている訳だが、この羊羹を配る意味はプライベートな間を作るだけではなく、お茶を生業とする私にとっては何もかもがプラスに働く。
例えば、「岩本さん常に羊羹持ってるんですか?!さすが茶人ですねぇ〜」という茶人の訳のわからぬ優しいマウンティングにもつながれば、小さいサイズとはいえ羊羹を食べれば人は何かを飲みたくなる。そんなときに最高の茶を淹れてあげればもうこれはイチコロ。教科書で出てくるレベルで需要と供給が完全一致した状態が作れる。そんなときにいう言葉は、「お茶は無意識消費になりがちな商品。だからこそお客様が求める設計をしなければなりません。潜在需要を作り出し、そこに供給する。それが僕たちTeaRoomの仕事です。」と。

(何だか宣伝のようになってしまったのだが、
お茶は何も施策をせずただそれを出せば、「止渇財」として喉の渇きをおさえる財になる。それではペットボトルと何ら変わらない消費スタイルであり、新しい価値の創造はできかねる。だからこそお茶は需要を作りながら提案する必要があり、それをするのがTeaRoomという会社なのです。)

話を戻すが、共通の事柄を共有することによってコミュニケーションを取り、価値観を交換することによって、人はお互いを理解し合うのだと改めて感じた良い機会だった。

p.s. 共通の話題を共有するために使うのが見立て

日本には「見立て」という概念があるが、それは上記の共通、共有の解釈によって理解できる。共通している話題を伝えようとしても共有できないときに相手の言語に合わせて共有してあげる。その際に茶器自体を相手の言語に合わせてあげることもあれば、銘(茶器にはテーマ性を表す名前がつく)を変えてあげることで共有してあげる。そんなことが日本には古き良き文化として根付いている。

共通と共有によるプライベートな間の創造…今回は羊羹を例に取り上げたけれど、最近のとても良い学びだった。

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