関電の40年超原発、再稼働にはハードルも むつ市との協議など焦点

 関西電力と福井県の間で、20年以上の課題となっていた使用済み核燃料の中間貯蔵施設。関電が令和5年末までに候補地を確定させると明言したことで、運転開始から40年超の原発3基の国内初の再稼働に道筋がつき始めた。関電は3基を再稼働させても、令和5年末までに候補地を確定できない場合は停止させるとの決意を示し、県側を納得させた格好だ。ただ、候補地とされた青森県むつ市の反発も予想され、不透明な情勢は変わらない。

 杉本達治知事は関電の森本孝社長らとの面談後、「候補地を確定できなかったときの覚悟を示した」と評価し、40年超運転となる原発3基の再稼働について県議会に議論を促すとした。

 これまで、県外候補地の提示がなければ40年超原発の再稼働を議論できないという姿勢だったが、態度を軟化させた。

 福井県が中間貯蔵施設の県外立地にこだわるのは長年、関電に棚上げにされてきた経緯があるからだ。平成9年、栗田幸雄知事(当時)が「県外立地」を要望したのが始まりだ。関電は29年、大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働にあたり、西川一誠知事(当時)に県外候補地の提示を約束した。

 だが、関電は期限とした30年に示せず、当時の岩根茂樹社長が西川知事に謝罪し、令和2年を念頭という形で先送りした。その後、電気事業連合会が青森県むつ市の施設の共同利用案を提示し、前進するともみられたが、同市が激しく反発。2年末の時点でも選定に至らず、関電は県に謝罪した。

 今回、5年末を最終期限と打ち出し杉本知事の理解を得たが、むつ市との交渉などが残されている。再稼働の地元同意は県議会、県知事の判断に焦点が移りつつあるが、今回の関電の表明が県外立地を確約したといえるかどうかでも議論を呼びそうだ。

 また、40年超の原発3基はいずれも年内にテロ対策施設の工事期限を迎える。工事が間に合わない可能性が高く、再稼働できても停止せざるを得ない状況になることもあり得る。今後も厳しい原発運営が続く。(藤谷茂樹、岡本祐大)

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