[東京 12日 ロイター] - 東芝は12日、20年4─12月期の連結営業利益(米国基準)は前年同期比61.6%減の240億円だったと発表した。新型コロナウイルスの影響で、半導体市況がコロナ前に想定していた水準に届かなかったほか、据え付け工事の遅れなどが生じた。

営業損益に対するコロナの影響は減少傾向にあるとしている。10―12月の3カ月の営業利益は前年同期の約倍となる209億円だった。加茂正治執行役上席常務は同日の決算会見で「基礎収益力強化が順調に進んでいる」と述べた。固定費の絞り込みも進めたとしている。

半導体は「第3・四半期に急速に回復期に入ってきた」とし、顧客の要望に応えるため増産準備を進めていると述べた。受注状況は「コロナ禍でも平年並みを確保した」と説明した。受注残高は19年12月末から6%増となった。

営業外損益は、キオクシアの持ち分法損益の改善や前年同期のLNG事業譲渡損失がなくなったことで増益となり、4―12月期の純損益は436億円の黒字だった。前年同期は1456億円の赤字だった。

参考値としているキオクシアの影響を除いた純損益の通期予想は500億円から700億円に上方修正した。東芝ロジスティクスの売却益が想定以上だったほか、引当金が当初想定より減少した。株式の含み益も織り込んだ。加茂氏は、金額の内訳への言及は控えた。

これを受けて、年間配当予想は1株当たり50円へと従来予想から10円引き上げた。前年実績は20円。

21年3月期の営業利益予想は前年比15.7%減の1100億円で据え置いた。IBESがまとめたアナリスト7人のコンセンサス予想では、21年3月期通期の連結営業利益予想の平均値は1217億円。

(平田紀之)