[12日 ロイター] - 中国の放送行政を担う国家広播電視総局は12日、英BBCワールドニュースの中国国内での放送を禁止したと発表した。英当局が中国国営テレビの免許を取り消したことを受けた措置とみられる。

当局の声明は、BBCワールドの中国関連の報道が規制に著しく違反しており、中国の国益を害していると指摘。中国で放送される海外放送局の要件を満たしておらず、放送免許申請も受理されないとした。

BBCワールドは、中国の一部ホテルや住宅で利用されている。

中国当局の発表を受け、香港でも、公共ラジオ放送の香港電台(RTHK)がBBCからの中継放送を12日から一時停止すると発表した。BBCとも並び称されるRTHKは、中国で唯一の独立系公共放送で、設立にあたって編集権の独立を保証されている。

英放送通信庁(Ofcom)は4日、中国国際テレビ(CGTN)の放送免許を取り消したと発表。調査の結果、中国共産党が番組の最終的な編集権を握っていることが結論付けられ、英放送法に反すると説明した。

中国当局の決定について、BBCは失望を表明。「BBCは世界で最も信頼される国際放送局であり、世界各地から公平かつ偏見のない客観的な報道を行っている」とした。

またラーブ外相も、報道の自由を奪うもので受け入れ難いと反発。「中国はメディアやインターネットの自由について世界中で最も厳しい規制をかけている。BBCの放送禁止は世界中からの中国に対する評価を損なうだけだ」と述べた。

米国務省のプライス報道官は定例会見で中国側の決定を非難。「中国が国内で自由に活動できるメディアを制限する一方で、中国政府首脳が海外の自由で開かれたメディア環境を利用して誤った情報を拡散しているのは問題だ」と述べた。