ビジネス

2021.02.11

未払い請求書を「現金化」。AIで審査、買い取りのパイオニア

OLTA 澤岻優紀

『Forbes JAPAN』が毎年、優れたスタートアップ200社を掲載している「日本のスタートアップ大図鑑」。スタートアップ新世代の躍動が話題となった2020年。なかでも、注目する企業6社を紹介する。その1社が、売掛債権を現金化するファクタリングのOLTAだ。


OLTAが行う「クラウドファクタリング」は中小企業に新しい資金調達の選択肢を提供する。一般に、企業が納品して請求書を発行しても支払日まで支払いは受けられない。

ファクタリングは、入金待ちの請求書を売却して現金化する手法。ノンバンクなどが対面で行っているが、オンライン完結型のファクタリングはOLTAが日本で初めてだ。

澤岻優紀は、29歳で「自分で事業を起こしたい」と野村証券を退職。ベンチャーなどに勤務し、「お金にかかる問題解決」のビジネスアイデアを磨いてきた。2017年に三菱UFJフィナンシャル・グループのアクセラレータプログラムに採択され、OLTAを設立した。

ファクタリングを利用する客の多くは中小零細企業だ。資金調達の選択肢が少ないなかで、「簡単ではやく、リーズナブルな方法が必要だ」と澤岻は考えた。

OLTA設立にあたり、中小企業20万社のデータに基づくAI(スコアリングモデル)を開発。完全オンラインで請求書や決算書、入出金明細などを査定し、手数料を2-9%まで下げた。複数の地方銀行や金融機関と協業し、クラウドファクタリングの普及にも力を入れている。

「中小企業が実力を発揮できる社会の実現を目指して、信用のデジタル化に挑戦しています」


たくし・ゆうき◎1987年、沖縄県生まれ。神戸大学卒業。野村証券の証券部門で上場企業の資金調達などを担当。2017年にOLTAを設立。

text by Michiko Nariai, photograph by Shunishi Oda, Retouch by Shinji Uezumi

この記事は 「Forbes JAPAN No.077 2021年1月号(2020/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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