米高齢者施設の職員の60%が「ワクチン拒否」、大手薬局が指摘

Photo by Spencer Platt/Getty Images

米国の薬局チェーン大手ウォルグリーンの幹部は2月9日のCNBCの取材に、高齢者介護施設で働く労働者の60%が新型コロナウイルスのワクチン接種を断ったと述べた。この数字は、驚くほど多くの医療従事者たちがワクチンの接種に否定的であることを示している。

ウォルグリーンの薬局及びヘルスケア部門の上級副社長のリック・ゲイツは、未使用のワクチンを州当局の助けを借りて、他の優先度の高いグループに割り当てたと述べた。ゲイツによると、老人ホームの入居者の20%もワクチンを拒否しているという。

ワクチンを拒否する医療従事者の多さは、公衆衛生の専門家や地方当局者を驚かせており、全国的な展開を遅らせる原因の一つとなっている。

これほど驚くほど多くの医療従事者がワクチンを拒否している理由は、複数あるとされている。安全性に関する誤った情報や、他の人々の接種の結果を待ってみたいという様子見のスタンス、開発プロセスに政治的な思惑が含まれていたという懸念、さらには長年不当な扱いを受け、人種差別に苦しんだ黒人労働者の間で、医療機関に対する不信感が広まっていることが挙げられている。

ワクチンの配布においては、大手薬局チェーンが重要な役割を果たし始めている。昨年10月にトランプ政権は、介護施設内のワクチン接種に向けてウォルグリーンとCVSらを選定した。バイデン政権下でこの提携は拡大しており、政府は2月11日から各地の薬局の店舗にワクチンを直接届けようとしている。

今回の60%という数字は、別のルートからの推定値とも一致している。昨年12月にオハイオ州知事のマイク・デワインは、ワクチンの優先接種の権利を与えられた介護施設の職員の約60%が、接種を拒否していると述べ、「これは困った状況だ」と話していた。

さらに、全米消防士協会は11月にニューヨーク市の消防士の約55%がワクチンを接種しない意向であると述べていた。

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事