[ウェリントン 9日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は9日、過熱する国内住宅市場で急激な価格調整が進めば金融の安定を損ねる恐れがあるとし、3月から住宅ローンの融資基準を厳格化する方針を示した。

中銀は昨年4月、新型コロナウイルス感染拡大の打撃を受けた景気を下支えするため、住宅ローンのローン資産価値比率(LVR)規制を1年間撤廃することを決めた。

ただ、その後住宅市場は急速に回復し、住宅価格中央値は過去最高を更新、新規住宅ローン件数も急増している。そのため中銀は3月から規制を復活させる方針を示した。

中銀のバスカンド副総裁は声明で「住宅市場の急激な調整が金融の安定にもたらすリスクを懸念している」とし、「多くの購入者が高いレバレッジを利用するようになり、投機的な動きもみられる」と説明した。

ロバートソン財務相も9日の予算演説で住宅市場に関して大胆な措置を講じる方針を示した。

低価格住戸の不足や過去最低の金利水準、ローン規制の緩和などを受け、国内の不動産価格は急騰。多くの国民にとってマイホーム取得が困難となっている。昨年6─12月期に不動産価格は中央値で17%上昇し、昨年末の価格は2019年末に比べ19%高い水準だった。

中銀は3月から住宅ローン融資基準を新型コロナ危機前の水準に戻す方針。3月以降、居住目的の場合はLVR80%以上の住宅ローンが新規融資全体に占める割合は最大20%、投資目的の場合はLVR70%以上のローンが占める割合は最大5%に規制される。投資目的の場合の基準は5月1日以降、さらに厳格化される。

*内容を追加しました。