[上海 9日 ロイター] - 米音声会員制交流サイト(SNS)アプリ「クラブハウス」が8日、中国本土で利用できなくなった。ユーザーや検閲監視団体が明らかにした。インターネットサービスが厳しく検閲されている中国本土で同アプリを通じた自由な議論は短期間で幕を閉じた。

中国版ツイッター微博(ウェイボー)のユーザーが8日夜にクラブハウスのアプリにアクセスできないと投稿し始めた。

インターネット検閲の監視団体グレートファイア・ドット・オーグは、中国本土のユーザーによるアクセスが現地時間8日午後7時(日本時間午後8時)ごろに遮断されたとツイッターに投稿した。

クラブハウスは2020年始めに米国でスタートした。米電気自動車(EV)メーカー、テスラのマスク最高経営責任者(CEO)と米新興ネット証券ロビンフッドのテネフCEOが今月、同プラットフォーム上でサプライズ対談したことでユーザーが一気に増えた。

中国本土でも多くのユーザーが新疆ウイグル自治区の収容施設や台湾の独立、香港国家安全維持法など政治的に微妙な問題も含め、多岐にわたる話題について意見を交わした。

クラブハウスは取材の要請に応じていない。中国サイバースペース管理局(CSC)にもコメントを求めるファクスを送ったが返答はない。

ある微博のユーザーは「クラブハウスは遮断された」と投稿した。別のユーザーは「あまりにも(動きが)速い」と指摘した。

クラブハウスの遮断について議論した微博の投稿の多くは9日朝までに削除された。

中国外務省の汪文斌報道官は9日、政府は法律に従ってサイバースペースを管理しているが、クラブハウスを巡る状況は承知していないと述べた。

米国務省の報道官はクラブハウスに対する中国の禁止措置は驚くべきことではないとし、市民によるインターネットや他のメディアへの自由なアクセスを許可するよう求めた。

「インターネットの自由は重要な権利で、十分な情報を得た市民が市民同士や指導者との間で自由にアイデアを共有できるようなるための鍵となる」と指摘した。

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