2021/2/9

新型コロナが加速させた、日本の「内向き」カルチャー

映画・音楽ジャーナリスト
いま、世界の映画産業が大きく変わっています。

米国ではハリウッドの大作が映画館で上映されずストリーミング・シフト。ゆえに日本の映画館も、枠の穴埋め的に国内コンテンツが占めて久しくなっているのです。

日本の映画産業とカルチャーの多様性はどうなるか。特集『時間を忘れる「コンテンツ」の研究』続編として、映画ジャーナリスト・宇野維正さんの論考をお届けします。

半年以上続く国内作品の寡占状態

最新の映画動員ランキングを眺めて誰もが気づくのは、上位作品が国内のアニメ作品とコミック原作の実写化作品に占められていることだ。
2021年1月25日付のランキングでは、トップ10のうち6作品が国内のアニメ作品、2作品がコミック原作の実写化作品。その前週は、実に7作品が国内のアニメ作品。
世の中的には『鬼滅の刃』の爆発的ヒットや興収記録更新のことばかりが取り上げられてきたが、アニメ作品とコミック原作作品とテレビシリーズの映画化作品(『鬼滅の刃』はその3つすべてに当てはまることになる)に偏向した国内作品の寡占状態は2020年6月から、つまり最初の緊急事態宣言が明けて映画館の営業が全国的に再開されてから、もう半年以上続いている。

要因①観客の中心が若者

短期的な要因は2つある。