[ニューヨーク 5日 ロイター] - 米株式市場では、個人投資家の買いを背景に急騰していたゲームストップなどの値動きが落ち着きつつある中、市場全般のパフォーマンスを圧迫しかねない潜在的な市場のストレスを巡る警戒が広がっている。

米株市場は5日までの週に反発し、今のところ、前週に見られたボラティリティーの高まりを消化したように見える。ボラティリティーが急激に高まったことでS&P総合500種は週間で昨年10月以来の大幅な下げを記録していたが、好調な企業決算や財政刺激策への期待、新型コロナウイルスワクチンの接種が全国的に進んでいることなどが支援材料となっている。

S&P500とナスダック総合は5日、前日に続き終値で最高値を更新した。

しかし、一部の投資家はゲームストップ株などの乱高下が、市場のボラティリティーを巡る懸念を高めたとともに、バリュエーションを押し上げたとみて、市場参加者のリスク回避が一段と強まる可能性を不安視している。

S&Pは昨年3月の安値から74%上昇し、予想株価収益率は約20年ぶりの高水準付近となっている。

BofAグローバル・リサーチの株式デリバティブ調査グローバル責任者、ベンジャミン・ボーラー氏は「最近の個人投資家の動きは市場全般にとって懸念材料だ」と指摘した。

BofAのアナリストによると、ゲームストップ株が急騰した際、S&P500種先物の流動性はマーケットメーカーや他の投資家のリスク回避の動きを背景に枯渇した。「市場の脆弱性」を測るBofAの指標は5日までの週に2020年3月以来の高水準を付け、米株市場が急激な市場のショックによる影響をかなり受けやすいことを示したという。

投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX、恐怖指数)も、投資家が通常よりも市場の混乱に敏感になっている可能性を反映している。同指数はS&Pが2.6%安となった1月27日、14ポイント上昇し、1日の上げとして昨年3月以来の大きさを記録した。

UBSのストラテジスト、スチュアート・カイザー氏は、これはS&Pの下げ幅から想定されるVIXの動きを8─10ポイント上回る上昇だったとし、こうした過剰な反応は投資家の警戒が強まっているシグナルだと指摘。マイナス材料を受けた大量売りが通常よりも出やすくなっている可能性があると述べた。

8日からの週には、ネットワーク機器大手シスコシステムズ、自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)、娯楽大手ウォルト・ディズニーなどの決算や、米消費者物価指数(CPI)の発表も注目される。

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