[東京 5日 ロイター] - ソフトバンクグループが8日発表する第3・四半期(2020年10─12月期)決算は、株式市場の上昇を背景にした投資ポートフォリオの評価額増加や新規株式公開(IPO)ブームに支援され、利益の回復が続くとみられている。

リフィニティブ・スマートエスティメートがまとめたアナリスト4人の予想平均によると、純利益は1710億円になる見通し。

前年同期は、1000億ドルを運用する傘下のビジョン・ファンドが米シェアオフィス大手ウィー・ワークなどへの投資で巨額の損失を出し、営業利益がほぼ消失。株主帰属純利益は550億円に落ち込んでいた。

レッドエキス・リサーチのアナリスト、カーク・ブードリー氏は、8日の決算はビジョン・ファンドの回復がテーマになると指摘する。

孫正義最高経営責任者(CEO)は第1・四半期に業績の目安として、営業利益の代わりに保有資産の評価額を採用するとした。その評価額は10月1日時点で1株当たり1万4528円となっている。

ソフトバンクGの株価は今年1月、米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズなどテクノロジー株が上昇し、IPOが急増する中、20年ぶりの高値(8946円)を付けた。

昨年12月には、ビジョン・ファンドが投資する米料理宅配サービス最大手ドアダッシュや不動産販売プラットフォームのオープンドアも米市場に新規上場した。

オープンドアは、投資家のチャマス・パリハピティヤ氏率いる特別買収目的会社(SPAC)を通じた上場だ。

こうしたSPAC経由のIPOは記録的に増加しており、ソフトバンクも便乗している。

ソフトバンクGのSPACであるSVFインベストメントは、IPOで6億0400万ドルを調達。株価は公開価格を約30%上回る水準で取引されている。マルセロ・クラウレ最高執行責任者(COO)率いる2社目のSPACも、2億ドルの調達を目指す。

投資家はまた、ソフトバンクGが新設した上場株運用子会社SBノーススターの業績にも注目している。同子会社は前四半期にデリバティブ(金融派生商品)投資で損失を出している。

S&Pグローバル・レーティングのアナリスト、西川弘之氏は、ソフトバンクの非常に積極的な成長戦略と財務方針は、状況が急変する可能性を意味しており、注意深く監視する必要があると指摘した。