[ムンバイ 5日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)は5日、政策金利のレポレートを過去最低の4%に据え置いた。据え置きは市場の予想通り。中銀は、引き続き銀行システムの流動性を潤沢にして景気回復を支援する方針を改めて示した。

リバースレポレートも3.35%に据え置いた。

中銀は新型コロナウイルス危機への対応で、昨年3月以降、レポレートを計115ベーシスポイント(bp)引き下げている。

中銀のダス総裁は「インド経済はこの先、上に向かうのみだ。2021/22年度は新型コロナによる経済へのダメージが回復すると確信している」と述べた。

据え置きは全会一致で決定したと説明した。

野村のインド担当エコノミストは、中銀は成長回復や政府の資金調達で鍵となる流動性供給を維持する姿勢を明確にしたと指摘した。

ダス総裁は、経済成長の見通しは改善し、インフレ率も今後数四半期、引き続き中銀の目標レンジ内に収まると予想。

「インフレ率が許容範囲に戻ったことで、成長を支え、新型コロナの影響を緩和し、経済をより高い成長軌道に戻すことが現在必要なことだと判断した」と述べた。

過去2カ月のインフレ率は昨年12月時点の中銀の予想よりも良好と指摘し、物価の安定が経済の潜在能力を発揮するための基盤であることに変わりはないと強調した。

ただ政策声明は、コアインフレ率が高止まりしており、インフレ懸念は続いていると指摘。ガソリンやディーゼルの価格高騰が懸念に拍車をかけており、持続的なインフレ低下の環境を築くことが必要だとしている。

中銀は消費者物価指数(CPI)の上昇率について、1─3月が5.2%、4─9月は「5.0─5.2%」と予想。

21/22年度(21年4月─22年3月)の国内総生産(GDP)伸び率を10.5%と予想した。

インド経済は、新型コロナウイルス流行の影響で4-6月期に深刻なマイナス成長を記録したが、その後は製造業が回復し、7-9月期は予想よりもはるかに小幅なマイナス成長となった。また、ワクチン接種の開始で悲観的な見方が一部後退している。

ダス総裁は「成長見通しは大幅に改善した。成長の勢いがより広範囲に広がっている。流行収束に向けてワクチン接種プログラムの展開が順調に進んでいる」と述べた。

<政府に協力>

総裁は、最近の財政支出計画を受けて、より力強い回復への期待が高まっているとした上で、中銀には支援の用意があり、政府の多額の借り入れ計画が市場で円滑に受け入れらるよう協力するとも述べた。

ソシエテ・ジェネラルのインド担当エコノミストは「中銀が成長を支援することに言及したことが重要だ」と指摘し、財政面でも債務のマネタイズか過剰流動性の利用で政府を支援する公算が大きいとの見方を示した。

総裁は、コロナ禍による歳入減少で、以前合意した財政健全化路線から逸脱するのはやむを得ないとの認識を示し、政府の新たな計画を待つとした。政府は2025/26年度までに財政赤字をGDP比4.5%に下げることを目指している。

*内容を追加しました。