[東京 5日 ロイター] - SUBARU(スバル)は5日、2021年3月期通期の連結業績予想(国際会計基準)を下方修正したと発表した。純利益は前期比50.8%減の750億円となる見通し。従来は800億円を見込んでいた。世界的な半導体部品の需給逼迫による生産への影響が避けられず、減産規模4万8000台などを織り込んだ。

IBESのコンセンサス予想では、アナリスト13人の通期純利益予想の平均値は962億円となっている。

通期の売上高に相当する売上収益予想は前期比14.8%減の2兆8500億円(従来予想は2兆9500億円)、営業利益予想は同52.5%減の1000億円(同1100億円)に引き下げた。

通期の生産台数計画は82万3400台と従来計画から5万8000台減らす。減産台数のうち、世界的なコンテナ不足による影響が1万台、半導体不足による影響が4万8000台という。通期の世界販売計画は従来計画から約4万3000台減少となる86万8000台に下方修正した。

<半導体不足による生産影響「来期も確実に残る」>

スバルの世界生産台数はここ数年、約100万台規模(前期は約103万台)で、四半期ベースを約25万台とすると、半導体不足による今期の減産規模4万8000台は2割近くを占めている。

岡田稔明取締役は同日の電話会見で、スバルにとって「決して小さな数字ではない」と指摘。日米での生産拠点では「雇用に手をつけることはないが、休日出勤や残業を減らすことになる」と話し、稼働停止もあり得るとした。

来期以降の影響は「確実に残るとは思っている」とした上で、具体的な減産規模は「今の段階で明言できる状況にはない」と述べた。

スバルの前に決算を発表した三菱自動車では半導体不足による今期の生産への影響が「数千台レベル」だったのに比べても、スバルの減産規模は大きい。その理由について岡田取締役は、スバルが「電子制御をより多く使っている車種に集中しており、商品数も絞り込んでいる。(車種間の)共有部品も多く、足らない場合は影響を受けやすい傾向にある」と説明した。

対策に関しては「非常に難しい」といい、在庫の持ち方は「ある程度ベストだと思っている」としつつ、「部品は共有化したほうが開発投資や原価などが抑えられる。当社の規模では分散発注するのは難しいと思うが、そういったことも考えながら、発注や在庫の持ち方を検討したい」と語った。

併せて発表した20年4─12月期連結決算(国際会計基準)によると、純利益は前年同期比33.6%減の742億円だった。売上収益は同16.5%減の2兆0748億円、営業利益は同35.6%減の982億円だった。岡田取締役は、10─12月期の販売は「きわめて堅調だった」といい、1─3月期も「堅調に推移する」とみていることから、減産影響による販売機会の逸失を最小化したいとの考えを示した。

*内容を追加しました。

(白木真紀)