2021/4/9

【水口貴文】ルイ・ヴィトンはブランドの学校だ

Starbucks
1971年に米シアトルで産声を上げたスターバックスは、96年に日本に上陸。東京・銀座に1号店をオープンしてから今年で25年を迎える。現在、全国に1628店(2020年12月現在)を展開し、約4万人のパートナー(従業員)が働く。

水口貴文氏は、ルイ・ヴィトン ジャパンカンパニー副社長、ロエベ ジャパン カンパニー プレジデント&CEOを経て、2016年6月、スターバックス コーヒー ジャパンのCEOに就任。ブランドビジネスに造詣が深く、グローバルビジネスの経験も豊富だ。

外資系トップにふさわしく輝かしい経歴の持ち主だが、34歳のとき、傾きつつあった家業の靴製造卸の立て直しに奮闘し、他社に譲渡した経験も持つ。決して平坦な道のりではなかった水口氏の経営者としての軌跡を振り返る。(全7回)
水口貴文(みなぐち・たかふみ)/スターバックス コーヒー ジャパン CEO
1967年東京生まれ。89年上智大学法学部卒業。伊ボッコーニ大学でMBA取得。プライス ウォーターハウス コンサルティング、家業の靴製造卸会社を経て、2001年にルイ・ヴィトン ジャパンカンパニーに入社。10年ロエベ ジャパンカンパニープレジデント&CEO。14年にスターバックス コーヒー ジャパン入社、最高執行責任者(COO)に就任。16年6月から現職。
INDEX
  • ブランドの価値を創る工夫
  • 現場の温度を感じ続けられるか
  • パリ本社でのサービス向上策
  • 一つ一つのこだわりを積み上げる

ブランドの価値を創る工夫

家業の引き継ぎを進めているとき、たまたま新聞広告でルイ・ヴィトン ジャパンカンパニーがマネジメント職の社員を募集していると知り、応募しました。
私がルイ・ヴィトン ジャパンを選んだ大きな理由の1つは、成功している会社で成功体験をしてみたい、成功している会社がどう動いているか体感してみたかったから。
ちょっとだけ「ルイ・ヴィトンだったらもう資金繰りをしなくて大丈夫だろう」とも思っていました。
2001年、34歳でルイ・ヴィトン ジャパンに入社し、まもなく池袋三越の店舗に配属され、店長を任されました。
ルイ・ヴィトンはさながらブランドの学校のようでした。なぜならブランドの価値を創るための工夫があらゆるところに施されているからです。
(写真:olaser/iStock)