2021/2/16
【安永雄彦】異色のビジネスマン僧侶、築地本願寺を「経営改革」
東京・築地にある浄土真宗本願寺派の寺院・築地本願寺。近年、時代の変化とともに“寺離れ”が進み、参拝者が年々減少する中、大胆な寺院改革を進めている。参拝者は2015年からの5年で、2倍の250万人に増えた。その仕掛け人が、代表役員・宗務長を務める安永雄彦氏だ。
安永氏は銀行勤務を経て、コンサルティング会社を経営、通信教育で仏教を学び、50歳で得度して僧侶になったという異色のキャリアの持ち主。2015年7月、企業でいえば社長にあたる宗務長に民間企業出身者として初めて抜擢された。長年経験を積んだ僧侶が就くのが通例の中、まさに異例の登用だ。
なぜ僧侶の道を選び、伝統的で保守的な組織の改革を進めることになったのか。安永氏のキャリアと哲学を追う。(全7回)
安永氏は銀行勤務を経て、コンサルティング会社を経営、通信教育で仏教を学び、50歳で得度して僧侶になったという異色のキャリアの持ち主。2015年7月、企業でいえば社長にあたる宗務長に民間企業出身者として初めて抜擢された。長年経験を積んだ僧侶が就くのが通例の中、まさに異例の登用だ。
なぜ僧侶の道を選び、伝統的で保守的な組織の改革を進めることになったのか。安永氏のキャリアと哲学を追う。(全7回)
銀行員、コンサル経営から僧侶に
私は2015年7月から、東京・築地にある浄土真宗本願寺派の寺院、築地本願寺の代表役員・宗務長を務めています。宗務長とは、企業でいう社長のことです。
私はしばしば「異色」という枕詞で、語られます。
21年間の銀行勤務を経て、コンサルティング会社を経営していた私は、通信教育で学び、50歳で僧籍を取得しました。
しかも多くの僧侶がお寺の息子や娘なのに対して、私はごく普通の東京のサラリーマン家庭育ち。こんな経歴の持ち主は、数少ないです。
わずかながら僧侶としての経験を積んだとはいえ、これまでとは全く違う世界に飛び込むことになります。経営している会社も誰かに任せなければなりません。
宗務長を引き受けるというのは、私にとって大きな決断でした。
「迷ったら『イエス』と言う」が私の信条です。できない理由を探すのではなく、「イエス」と言ってから、どうしたらできるかを考えればいい。
あまり好奇心の赴くままに「イエス」と言い続けていると、キャリアが思いがけない方向に行くこともあります。それでも後悔したことは一度もありません。