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五輪憲章に抵触も 「女性たくさん」森氏発言の深刻さ

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IOCのバッハ会長とのオンライン協議を終え、発言する東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長=東京都中央区で2021年1月28日午後6時21分(代表撮影)
IOCのバッハ会長とのオンライン協議を終え、発言する東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長=東京都中央区で2021年1月28日午後6時21分(代表撮影)

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が3日、日本オリンピック委員会(JOC)の評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと女性を蔑視する発言をした。「いかなる差別をも受けることなく」と定めた五輪憲章にも反する内容で、組織トップのあからさまな差別発言に批判が相次いだ。【塩田彩、待鳥航志】

女性理事登用は「文科省がうるさく言うから」

 森氏の発言は、報道陣に公開されたオンラインの会議で、競技団体の女性理事の登用に関して飛び出した。「テレビがあるからやりにくいが、女性理事4割は、これは文科省がうるさく言うんでね」と、スポーツ庁が示した指針に沿った、女性理事を40%以上とする目標に言及。その後、「女性がたくさん入っている理事会が時間がかかります。(日本)ラグビー協会は(会議が)今までの倍、時間がかかる。女性が10人くらいいるのか、今は5人か。女性は優れており、競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言われると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。それでみんな発言される」と語った。

 さらに、「あまり言うと新聞に漏れると大変だな。また悪口を言ったと言われる。女性を増やしていく場合は、『発言の時間をある程度、規制を促しておかないと、なかなか終わらないので困る』と言っておられた。誰が言ったかは言わないけど」と発言。「私どもの組織委にも女性は何人いる? 7人くらいかな。みんなわきまえておられる。みんな競技団体からのご出身、また国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。お話もきちっと的を射ており、欠員があればすぐ女性を選ぼうとなる」と続けた。

「女性の発言を揶揄し、萎縮させる」

 性暴力に抗議する「フラワーデモ」の呼びかけ人で作家の北原みのりさんは、毎日新聞の取材に対し、「女性の会議での態度を揶揄(やゆ)することで、女性が意見を述べること自体を萎縮させる差別発言で、許されない」と批判。「昼間の会議では発言せず、女性のいない夜の会食で重要な決定をしてしまうような男性中心の文化が、コロナ禍での政治家の銀座通いなどで浮き彫りになっている。今回の森氏の発言はそうした文化を象徴している」と指摘する。北原さんは「森氏は、これまでも『神の国』発言などで批判されてきたが、『何か言ったらたたかれる』ぐらいにしか考えていない。今回の発言も、『本音を少しくらい言っても許される』と考えているのではないか。この発言を看過した組織委のもとでオリンピック・パラリンピックを開催すべきではない」と語った。

 志田陽子・武蔵野美術大教授(憲法学)も取材に対し、「飲み屋での雑談とは異なり、公人による公的な場での発言であり、見識を問われる。しかもオリ・パラは国際社会の関心事であり、日本の民度がこうした発言で見積もられてしまう」とコメントした。

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